黒田継高

黒田継高：筑前福岡藩、最後の血統藩主

黒田継高（くろだ つぐたか）は、江戸時代中期に筑前福岡藩を治めた第6代藩主です。福岡藩の礎を築いた黒田如水、長政の血を引く最後の藩主として、その生涯は波乱に満ちていました。

生涯

元禄16年（1703年）、黒田継高は筑前直方藩主・黒田長清の次男として誕生しました。幼少の頃は菊千代、後に長好と名乗りました。正徳4年（1714年）に福岡藩主・黒田宣政の養嗣子となり、徳川家継から偏諱を受け継高と改名。従四位下・筑前守に叙任され、松平姓を賜与されました。その後、侍従、左少将に任官し、順調に出世を重ねました。

享保4年（1719年）には宣政の隠居により家督を相続し、福岡藩主となります。翌年には実父・長清が死去したため、直方藩領も併せて受け継ぎました。歴代の福岡藩主の中で最も長い50年間藩主を務め、その間、藩政改革や文化振興に尽力しました。

藩政改革と文化振興

病弱だった養父とは対照的に、継高は非常に精力的な藩主でした。吉田栄年・保年父子を登用し、運上銀の改定や享保の大飢饉後の窮民対策など、様々な藩政改革に取り組みました。吉田栄年と協力して行った藩政改革は一定の成果を上げ、藩財政の立て直しに貢献しました。

また、宝暦4年（1754年）には別邸・友泉亭を造営し、伝統芸能や文化を愛好しました。特に能楽を好み、桜田の上屋敷で盛大な能会を何度も催しました。将軍や老中も訪れるほど盛況で、能役者のために稽古場を設けるほどでした。

後継者問題と晩年

晩年、継高は次男・重政、四男・長経という2人の後継者候補を相次いで亡くし、後継者問題に直面しました。外孫にあたる相良長寛を養子に迎えることにしましたが、幕府から一橋宗尹の五男・黒田治之を養子に迎えるよう打診があり、苦渋の決断を迫られました。最終的に、藩の存続を第一に考え、治之を養子に迎えることを決意しました。

明和6年（1770年）に隠居し、家督を治之に譲りました。隠居後は図書頭を称し、安永4年（1775年）に福岡城で生涯を閉じました。享年73歳。

逸話

継高は文化人としても知られ、宝暦2年（1752年）には雷山の大悲王院千如寺を再興し、堂宇を建立しました。また、光雲神社の創建にも関わっています。

徳川幕府家譜の誤記

『徳川幕府家譜』には、竹姫が黒田継高に嫁いだと誤記されていますが、正しくは島津継豊に嫁いでいます。ただし、竹姫と島津継豊の娘である菊姫は、継高の子である黒田重政に嫁いでいます。

黒田継高は、福岡藩の最盛期を築き上げた名君として、今もなお人々に語り継がれています。

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