千歳川仮停車場

千歳川仮停車場について

千歳川仮停車場は、1889年（明治22年）に九州鉄道（現在の鹿児島本線）が開業した際、筑後川（千歳川）の北岸に設けられた仮の駅です。開業当時の終着駅であり、現在の肥前旭駅と久留米駅の間に位置していました。「千歳川」は筑後川の別名であり、駅名もこれに由来します。

開業の背景

1888年（明治21年）8月に設立された九州鉄道は、同年9月に博多〜久留米間の工事に着手しました。当初の計画では久留米駅までの開業が予定されていましたが、1888年7月に発生した筑後川の氾濫により橋梁工事が遅延し、急遽、仮駅を終点とすることになりました。そして、1889年12月11日に博多〜千歳川仮停車場間が開業しました。

当時の運行本数は1日3往復で、所要時間は1時間23分でした。千歳川橋梁の工事が完了した1890年2月24日、本停車場開業から約3ヶ月後の1890年3月1日には久留米駅が開業し、千歳川仮停車場はその役目を終え廃止となりました。

千歳川橋梁について

千歳川仮停車場の設置理由となった千歳川橋梁（千歳川鉄橋）は、九州で最初の鉄道用鉄橋でした。ドイツ製のポニープラットトラス工法で建設された9連の鉄橋は、当時の技術力を示すものでした。

大正時代に入り、機関車の大型化に伴い橋梁の架け替えが行われました。旧橋梁は熊本県の鹿本鉄道に譲渡され、4連に短縮された上で菊池川を跨ぐための「菊池川橋梁」として再利用されました。鹿本鉄道は1960年に廃線となり、鉄橋も撤去されましたが、その一部は後に宮原駅跡に保存されました。

さらに2002年には移設され、現在は山鹿市の道の駅水辺プラザかもとの遊歩道の一部として展示されています。

また、現在も鹿児島本線には「千歳川橋梁」の名前が残っており、1977年に完成した現在の複線トラス鋼橋も千歳川橋梁と称されています。歴史を感じさせるこの橋梁は、鉄道技術の進歩と時代の流れを物語る存在と言えるでしょう。

隣接駅

開業時
鳥栖駅 - 千歳川仮停車場

廃止時
鳥栖駅 -（千歳川仮停車場）- 久留米駅

関連事項

鹿児島本線
久留米駅
* 筑後川

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