千田車庫

広島電鉄千田車庫

広島市中区東千田町に位置する広島電鉄千田車庫は、広電で最も歴史のある路面電車車庫です。単なる車両基地としてだけでなく、工場や変電所、さらには広電本社ビルも併設されており、広電の運営において中核的な役割を果たしています。最寄りの電停は広電本社前で、宇品線のほぼ中間に位置しています。

概要

千田車庫では、所属車両の日常的な検査に加え、江波車庫や荒手車庫に所属する車両の全般検査も担当しています。かつては、宮島線で使用されていた高床車両の検査も行っており、これらの車両は路面電車とは異なり、車体が高いため、前面に排障器を取り付けて、自力または2000形2001号を控車として荒手車庫まで回送されていました。

毎年6月初旬の日曜日には、路面電車の日を記念して「路面電車まつり」が開催され、一般に施設が開放されます。このイベントは、1995年から毎年恒例となっており、地域住民や鉄道ファンにとって楽しみな機会となっています。

所属車両

朝夕のラッシュ時には、千田車庫から多くの臨時便が出庫し、広電本社前電停や日赤病院前電停を始発とする便も運行されています。

担当路線:

• - 1号線
• - 3号線
• - 5号線
• - 7号線

過去には、1938年11月11日に発生した火災で多くの車両が被害を受けました。特に軌道線車両の被害が甚大で、被災したA形11両は450形として復旧されました。また、1975年にも車庫で火災が発生し、550形552号と900形902号が廃車となりました。

所属車両一覧:

• - 350形: 352
• - 570形: 582
• - 650形（被爆電車）: 651 - 653
• - 700形: 701 - 705, 707
• - 750形: 762, 768
• - 800形: 801 - 802, 805, 807, 810 - 814
• - 1000形: 1001, 1007, 1010 - 1018
• - 1150形: 1156
• - 1900形: 1901, 1904 - 1908, 1913 - 1915
• - 3000形: 3003
• - 3800形: 3802 - 3804, 3806 - 3807, 3809
• - 5000形: 5012
• - 5100形: 5102 - 5107, 5109 - 5110
• - 5200形: 5207 - 5209

被爆建物

千田車庫には、被爆建物である変電所と事務所が現存しています。これらの建物は、1912年に「広島電気軌道火力発電所」として建設されました。当初は発電機と発電用ボイラーを収容するための煉瓦造りの地上1階地下1階の2棟でした。1934年に発電所としての役割を終え、発電機棟は変電所、ボイラー棟は資材倉庫として再利用されました。変電所には500kWの鉄槽水銀整流器が設置され、櫓下変電所からの遠方制御を受けていました。

1945年8月6日、広島への原爆投下により、千田車庫も被爆しました。爆心地から約1.92kmに位置していた変電所と資材倉庫は、爆風で屋根が吹き飛びましたが、倒壊は免れました。一方で、木造の本社屋は半壊、修理工場や車庫は倒壊し、多くの職員が犠牲となりました。しかし、千田変電所の被害が軽微だったことと、廿日市変電所が無事だったことが、広電の復旧を大きく助けました。被爆直後の混乱の中、職員や軍関係者が復旧作業に取り組み、8月9日には己斐から西天満町電停までの折り返し単線運転が再開され、市民を勇気づけました。

戦後、2棟とも改修され、変電所棟は現在も現役で使用されており、旧倉庫棟は事務所棟として利用されています。1991年には本社が建て替えられ、その後、広島市によって本社前に原爆被災説明板が設置されました。

周辺施設

千田車庫の周辺には、広電系列のボウリング場「ヒロデンボウル」があります。また、広島赤十字・原爆病院、広島大学東千田キャンパス、各種専門学校なども立地しています。かつては山陽コカ・コーラボトリング本社もありましたが、現在はコカコーラ・ウエストジャパン広島支店となっています。

関連項目

• - 日本の車両基地一覧

外部リンク

• - 広島電鉄
• - 被爆建物 刻まれた記憶「広島電鉄千田変電所」 - ウェイバックマシン（2006年2月22日アーカイブ分） - NHK広島
• - 被爆建造物は語る - 広島市
• - 原爆被災説明板 - 広島市
• - 路面電車まつり - 広島市

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