千種義人

千種義人（ちぐさ よしんど）

千種義人（1911年10月24日 - 2000年9月3日）は、日本の著名な理論経済学者です。慶應義塾大学の名誉教授であり、関東学園大学の名誉教授、広島修道大学の学長も務めました。その業績を讃えられ、紫綬褒章を受章しています。

生い立ちと学問への道

1911年、兵庫県に生まれた千種義人は、慶應義塾大学経済学部に入学し、金原賢之助教授のゼミナールに所属しました。1937年に同大学を卒業後、ドイツへ留学し、経済学の研究に邁進しました。

経済学者としてのキャリア

1937年、千種義人は慶應義塾大学経済学部の助手に採用され、研究者としてのキャリアをスタートさせました。1943年には助教授に昇格し、1944年からは警察大学校の講師も兼任しました。戦後も引き続き経済原論を担当し、1949年には教授に昇任しました。1960年には、学位論文『資本主義計画経済の研究』を慶應義塾大学に提出し、経済学博士号を取得しました。また、1959年から1年間、ケンブリッジ大学とハーバード大学に派遣研究員として留学しました。

1966年から1970年まで、慶應義塾高等学校の校長も兼任し、教育にも尽力しました。1977年に慶應義塾大学を定年退職し、名誉教授となりました。その後、日本大学経済学部教授として教鞭を執りました。

1980年には、広島修道大学の学長に就任し、翌1981年には関東学園大学の学長にも就任。大学経営においてもその手腕を発揮しました。

2000年、千種義人はその生涯を閉じました。

委員・役員など

千種義人は、教育者、研究者としてだけでなく、様々な委員や役員も務め、社会に貢献しました。

受賞・栄典

1969年、長年の警察行政への協力が認められ、警察協力章を受章しました。1975年には、その学術的な功績が評価され、紫綬褒章を受章しました。

研究内容と業績

千種義人の専門は近代経済学であり、研究初期にはスウェーデンの経済学者グスタフ・カッセルの学説を研究しました。第二次世界大戦中から戦後、そしてソビエト連邦の崩壊という激動の時代を経験し、理論経済学の分野において独自の視点を展開しました。特に、戦後の日本の経済体制について、「資本主義経済といふ骨組の上で、それに社会主義的政策を極度に加へて行くといふ折衷的な途を選ばねばならない」という見解を示しました。

指導した学生たち

千種義人は、多くの学生を指導し、学問的な影響を与えました。慶應義塾大学を定年退職する際には、その功績を称え、松浦保、大熊一郎、富田重夫、神谷伝造、川又邦雄、長名寛明、田中宏、山田太門、宇佐美泰生といった教え子たちが論文を寄せた退任記念論文集が編纂されました。

多彩な才能

千種義人は、経済学の研究だけでなく、石仏にも深い造詣を持っており、関連する著作も複数あります。また、写真撮影を趣味としており、仏教美術を題材とした作品は芸術的にも評価されています。さらに、クラシック音楽にも造詣が深く、幅広い分野で才能を発揮していました。

著作

千種義人は、多くの著作物を発表しており、経済学の発展に貢献しました。

著書

『経済政策』編、有斐閣双書 1967
『新経済理論の課題』上 [高島善哉]]・都留重人共編、[[東洋経済新報社] 1947
『厚生経済学の理論』福岡正夫共編、壮文社 1949
『アメリカの経済とソヴェトの経済』野々村一雄共編、有信堂(文化新書) 1962
『現代経済学の思潮』気賀健三共編、秀潤社、1977

訳書

『アメリカにおける資本主義 階級なき社会』フレデリック・マーチン・スターン著、好学社 1953

外部リンク

* 千種 義人 (堀和孝)Bibliographical database of Keio

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