千葉兼胤

千葉兼胤は、室町時代前期に活躍した武将で、千葉氏第15代当主にあたります。第14代当主である千葉満胤の子として生まれました。妻は上杉氏憲（禅秀）の娘です。

生涯

兼胤は父・満胤とともに鎌倉府に仕え、元服の際に第3代鎌倉公方足利満兼より一字を賜り「兼胤」と名乗りました。満兼の下で鎌倉府の侍所の役人を務め、その才能を発揮しました。

応永16年（1409年）には、満兼が死去した際、親戚関係にあった新田貞方・貞邦父子による謀反が企てられますが、兼胤はこれを事前に鎮圧するという武功を挙げ、その名を轟かせました。同年、第4代鎌倉公方に就任した満兼の嫡男・足利持氏にも引き続き仕えました。

しかし、応永23年（1416年）には、舅である元関東管領上杉氏憲（禅秀）が反乱を起こすと（上杉禅秀の乱）、兼胤は父と共にこれに与し、主君である持氏の追放に加担しました。ところが翌年、幕府軍の反撃により禅秀が自害すると、兼胤は父とともに幕府軍に降伏することとなります。この一件は、兼胤の人生における大きな転換点となりました。

応永33年（1426年）には、父・満胤の死により家督を継いだとされています。ただし、降伏後に父が隠居同然の状態であったため、実際にはこの時期より少し前に家督を継承した可能性が高いと考えられています。

永享2年（1430年）6月17日、兼胤は39歳という若さでこの世を去りました。跡は長男の胤直が継ぎ、千葉氏の歴史は続いていくことになります。

兼胤は、鎌倉府という激動の時代に生きた武将であり、その生涯は波乱に満ちていました。主君への忠義と一族の存続という二つの間で葛藤し、時には誤った選択もしましたが、その行動は歴史に深く刻まれています。

参考文献

東京大学史料編纂所 大日本史料データベース
石橋一展「室町期下総千葉氏の動向―兼胤・胤直・胤将―」（『千葉史学』66号、2015年）

外部リンク

* 千葉氏の一族

もう一度検索