千葉石

千葉石（ちばせき、chibaite）

千葉石は、千葉県南房総市の荒川にある採石場で2009年に発見された新しい鉱物で、化学組成はSiO2·n（メタンCH4、エタンC2H6、プロパンC3H8、イソブタンC4H10）から成る複雑な構造を持っています。この鉱物は、結晶系が等軸晶系に分類され、ハイドレートII型の結晶構造を有しています。

発見の経緯

千葉石の発見は、シロウリガイの化石が多く産出される場所での調査中に起こりました。最初に見つかった結晶は、その外見から石英であると思われたものの、さらに分析を行った結果、未知の鉱物であることが分かりました。この結晶はメタンハイドレートII型の水分子を二酸化ケイ素が置き換えた構造を持っており、他にはメラノフロジャイトとともに、ガスハイドレート鉱物として知られています。

産出地

千葉石の産出地は、千葉県南房総市荒川であり、この地域は他の鉱物や化石が多数見つかるスポットとしても知られています。

特徴と性質

千葉石は一般的に透明な八面体の結晶を形成し、時には白濁したものが見られることもあります。白濁の原因は、石英に変質している場合が多いですが、白濁の下に透明な部分が残っている場合、その部分が千葉石である可能性があります。この特性は、外見的に判断するのが難しいため、十分な分析が必要です。

千葉石はその独特の性質から、科学的な興味を引く対象となっており、化学組成に含まれるガス成分は、他の鉱物とは一線を画す特徴です。特に、結晶構造が似ているメラノフロジャイトとともに、日本で発見されたガスハイドレート鉱物として注目される存在です。

発展と類似鉱物の発見

千葉石の発見後、2020年12月には、国立科学博物館や東北大学などの連携により、千葉石に類似した新たな鉱物である房総石の発見が発表されました。これは千葉石研究のさらなる発展を示しており、既存の鉱物研究の枠を広げる可能性があります。

参考文献

• - 門馬綱一ほか「千葉県南房総市荒川から産出した包摂化合物結晶について」『日本鉱物科学会年会講演要旨集』、日本鉱物科学会、2008年、107頁。
• - Koichi Momma; et al. (2011). "New silica clathrate minerals that are isostructural with natural gas hydrates". Nature Communications (Nature Publishing Group) 2. doi:10.1038/ncomms1196.
• - 門馬綱一、池田卓史「新鉱物 千葉石（chibaite）について」『ゼオライト』第28巻第1号、ゼオライト学会、2011年、25-32頁。

千葉石は、自然界の複雑なプロセスによって形成された貴重な鉱物です。この新鉱物は、科学の発展に寄与するだけでなく、鉱物収集家や研究者にとっても興味深い対象となっています。

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