千里眼 (人工衛星)

千里眼（COMS-1）について

千里眼、正式にはCOMS-1（Communication, Ocean and Meteorological Satellite 1）は、韓国が打ち上げた人工衛星で、2010年6月に宇宙に送り出されました。この衛星は、通信と海洋・気象観測を目的としており、韓国航空宇宙研究院によって運用されました。千里眼は、2021年4月1日にその運用を終了しましたが、韓国にとって初の静止衛星としての重要な役割を果たしました。

機体構造

千里眼の製造は、EADS アストリアムが手掛け、その設計はEurostar-3000S衛星バスに基づいています。衛星の重量は2460kgであり、NATO分類ではD/E及びKバンドトランスポンダ、IEEE分類ではL/S及びKaバンドトランスポンダを搭載しています。また、1枚の太陽パネルからは、最低2.5kWの電力を発生させることができ、ミッション期間は当初7年間の予定でしたが、設計寿命は10年となっています。

打ち上げと運用

千里眼は、アリアンスペースによってフランスのギアナ宇宙センターでアリアン5ECAロケットを用いて打ち上げられました。当初の打ち上げ予定日は2010年6月23日でしたが、ロケットのサブシステムに問題が発生したため、2度の延期を経て、最終的に6月26日21時41分（UTC）に打ち上げが行われました。この際、同時にサウジアラビアの衛星アラブサット5Aも打ち上げられました。

打ち上げ後、衛星は静止トランスファ軌道に配置され、その後アポジキックモーターを用いて静止軌道（東経128.2度）に到達しました。7月10日には地上局がその制御権を引き継ぎ、12日に最初の気象映像、13日に海洋映像を撮影することに成功しました。

しかし、2011年2月にはロシアの軍事通信衛星が千里眼に近づき、衛星管制チームは緊急避難措置を取る事態となりました。この出来事は背景が明らかではありませんが、ロシアが千里眼の位置に優先権を主張していたことから、意図的に接近した可能性が考えられています。この件に関して韓国政府はロシアに対して再発防止を求めましたが、応答はありませんでした。

故障と後継機

2018年2月11日、千里眼のメインコンピューターが故障し、気象観測が一時的に日本のひまわり衛星に切り替えられましたが、4日後には復旧しました。同年3月には運営期限が2020年3月まで延長され、さらにゴーサインが出された後、後継機として千里眼2A号（気象観測用）が2018年12月5日に、千里眼2B号（海洋・環境観測用）が2020年2月19日に打ち上げられました。

気象関連ミッション

千里眼の気象ミッションは2011年4月6日に本格化しました。観測範囲はグローバル、アジア地域、南半球、特に朝鮮半島にフォーカスが当てられています。狭域アジア地域は88回実施され、全球観測は1日に8回行われます。観測チャンネルは日本のMTSAT-1および2とほぼ同じ波長帯であり、階調値や温度の対照表が無いため、MTSATや中国のFY-2との比較は注意が必要です。常に最新の情報とともに、韓国の気象データの基盤を支える重要な役割を果たしてきました。

参考文献

• - 千里眼2号（後継衛星）についての情報

関連項目

• - 気象衛星に関するリンク
• - 韓国気象衛星センターホームページ
• - COMS衛星概要（韓国NMSCの情報）

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