午後のシンシア

午後のシンシア

『午後のシンシア』は、日本の歌手、南沙織が1977年4月1日にCBSソニーからリリースした、通算16枚目となるオリジナル・アルバムです。

概要

当時のLPレコードに付された帯には、「けだるい午後のまどろみから目覚め飛躍するシンシア」というキャッチコピーが記されており、アルバムの雰囲気を示唆しています。本作は、同年3月1日に発売された22枚目のシングル 「ゆれる午後」 と、そのB面曲である 「春の愁い」 を含む全10曲で構成されています。

制作背景と音楽性

このアルバムの最大の特徴は、収録されているすべての楽曲が作詞家・有馬三恵子と作曲家・筒美京平のコンビによって制作されている点です。この強力なタッグによるアルバムは、1973年のアルバム『20才まえ』以来であり、久々に両名が全曲を手がけた作品となりました。

アルバム全体を通して、有馬三恵子の繊細な歌詞と筒美京平による叙情的かつポップなメロディーが組み合わされ、南沙織の歌声を通じて独特の世界観が表現されています。編曲には水谷公生、船山基紀、筒美京平、萩田光雄といった当時の第一線で活躍するアレンジャーが参加しており、各楽曲に彩りを添えています。

収録曲

全作詞：有馬三恵子、全作曲：筒美京平

1. アリスの世界 (編曲：水谷公生)
2. 目の中の春 (編曲：船山基紀)
3. あの手この手 (編曲：筒美京平)
4. ふたり淋しがりや (編曲：水谷公生)
5. ゆれる午後 (編曲：萩田光雄) - 22ndシングルA面
6. いつか逢えますね (編曲：船山基紀)
7. あとずさりする月日 (編曲：筒美京平)
8. 春の愁い (編曲：水谷公生) - 22ndシングルB面
9. 別れのマチネー (編曲：水谷公生)
10. もう一人 (編曲：筒美京平)

メディア展開

オリジナルは1977年にLPレコードとして発売されましたが、長らくCD化されていませんでした。しかし、ファンの要望に応える形で、ソニーレコードが運営するウェブサイト「Sony Music Shop」内の企画「オーダーメイドファクトリー」において、購入予約注文数が規定枚数に達したことから、2005年に初めてCDとしてリリースが実現しました（この初回CDは帯なしのプラスチックケース仕様でした）。その後、まもなくCD-BOXの一部としても再リリースされています。

2008年時点の情報によれば、このアルバムのCDパッケージでの製造は停止されており、音楽配信サービスを通じてのみ入手可能となっていました。なお、収録曲の大部分は、2002年6月19日に発売されたベスト・アルバム『GOLDEN☆BEST 南沙織 筒美京平を歌う』にも収められています。

発売履歴

1977年4月1日 - LPレコードとして発売。
2004年11月1日 - オーダーメイドファクトリーによる初回CD化。
* 2006年6月14日 - 35周年CD-BOX『Cynthia Premium』の一枚として、紙ジャケット仕様・高音質マスターサウンドで再収録（単体での販売はありませんでした）。

これらの発売履歴から、本作が時代を経て再評価され、新たなメディアで提供されてきた過程が見て取れます。特に、全曲有馬三恵子×筒美京平コンビによる作品であることは、音楽的な重要性を示す点と言えるでしょう。

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