半井成信

半井成信（なからい なりのぶ）は、安土桃山時代後期から江戸時代初期にかけて活躍した医師です。彼は瑞桂、驢庵（3代）という号を用いていました。父である半井瑞策（2代驢庵）と同様に、通仙院の院号を称し、徳川家康をはじめとする有力者の侍医を務めました。

生涯

半井成信は、半井光成（瑞策・2代驢庵）の子として生まれました。幼少期には相国寺の惟高妙安のもとで学んでいます。

彼は駿府で徳川家康に仕え、薬の調進を行いました。その後、江戸へ赴き、徳川秀忠にも薬を献上しています。

寛永元年（1624年）には、半井家の先例に従い、法印に叙されることなく「通仙院」の院号を称することを許され、勅命により深黒の素絹の着用を許されました。この際、「驢庵」の号は嫡孫である半井成近に譲っています。

成信の没年については、以下の複数の説が存在します。

『寛政重修諸家譜』（以下『寛政譜』）では、寛永15年（1638年）4月11日に没したとされています。
『寛政譜』編纂時の記録には、寛永11年（1634年）4月11日に京都で没し、享年95歳であったと記されていたと伝えられています。
大徳寺真珠庵にある墓石の銘によれば、寛永16年（1639年）4月11日に没し、享年95歳であったとされています。
『寛政譜』の半井成近の項目には、慶長16年（1639年）6月15日に祖父の遺領である山城国愛宕郡内の500石を継いだと記されています。

家族

『寛政重修諸家譜』には、5男5女が記載されています（女子については存在が示されるのみ）。5人の男子は以下の通りです。

1. 長男：半井利親（瑞玄）
2. 二男：半井瑞沢（蛛庵） - 法印に叙されています
3. 三男：半井宗閑
4. 四男：半井琢庵
5. 五男：半井瑞益（久庵）

長男の半井利親（瑞玄）は、従五位下典薬頭・右衛門佐に叙されましたが、慶長8年（1603年）に25歳で亡くなり、父に先立ちました。そのため、利親の子である半井成近（瑞寿・4代驢庵）が嫡孫として家を継ぐこととなりました。なお、利親は藤堂高虎の娘を妻としており、成近は高虎の外孫にあたります。

備考

徳川家康の招きにより関東へ赴いた際、伏見城の搦手門を下賜され、京都の烏丸中立売にあった自邸に移築しました。この京都屋敷には、徳川家康が上洛した際に宿泊したという伝承も残されています。

参考文献

石野瑛「京都大徳寺塔中真珠庵所蔵の半井家画像」『中外医事新報』第1241号、1937a。
石野瑛「大医和気・半井家系の研究」『中外医事新報』第1247号、1937b。

関連文献

* 田端泰子「『玄朔道三配剤録』と『医学天正記』から見た曲直瀬玄朔一門の患者とその時代　－とくに秀吉の番医制との関係を軸に－」『女性歴史文化研究所紀要』第22号、京都橘女子大学女性歴史文化研究所、2014年。

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