真珠庵

真珠庵：一休宗純ゆかりの禅寺と貴重な文化財

京都市北区紫野、臨済宗大本山大徳寺の塔頭である真珠庵は、特異な境涯で知られる禅僧、一休宗純ゆかりの寺院として知られています。通常は非公開ですが、特別公開時には、歴史と文化が凝縮された空間を垣間見ることができます。

歴史と創建

真珠庵は、永享年間（1429年～1441年）に大徳寺を復興した一休宗純を開祖として創建されました。しかし、応仁の乱で焼失。その後、延徳3年（1491年）に堺の豪商・尾和宗臨によって再興され、寛永15年（1638年）には京の豪商・後藤益勝の寄進により方丈が建立されました。この方丈は、後述するように、数々の貴重な障壁画を今に伝えています。

庵号の由来：真珠のように輝く雪

真珠庵という庵号は、一休宗純が名付けたものです。その由来は、日本臨済宗の祖の一人である楊岐方会が、雪の夜に楊岐山の破れ寺で座禅をしていた際、舞い込んだ雪が月に照らされて真珠のように輝いたという故事にちなみます。この逸話から、一休は静寂と美しさが共存するこの地を真珠庵と名付けたのでしょう。

見どころ：建築、庭園、そして数々の文化財

真珠庵には、歴史と文化を感じさせる数々の建造物と庭園、そして貴重な文化財が数多く残されています。

建造物:

方丈: 寛永15年（1638年）建立の入母屋造、檜皮葺の建物。曾我蛇足や長谷川等伯の障壁画が、今もなお当時のままの姿で人々を魅了しています。これらの障壁画は、室町時代の絵画を代表する作品群として、高い価値を持っています。
書院・通僊院: 入母屋造、杮葺の建物で、正親町天皇の女御の化粧殿を移築したものと伝えられています。書院に隣接して、茶室・庭玉軒が配置されています。
茶室・庭玉軒: 茶道・宗和流の祖、金森重近（宗和）好みと伝えられる二畳台目下座床の席です。庇屋根と壁で囲まれた土間には、手水鉢や飛石があり、巧みな意匠が施されています。金龍院から移築されたという説もありますが、江戸時代の古図にも描かれていることから、真珠庵で創られた可能性が高いとされています。
庫裏: 慶長14年（1609年）建立の切妻造妻入、杮葺の建物です。

庭園:

方丈東庭: 真珠庵で最も古い庭園とされ、侘び茶の祖である村田珠光か連歌師宗長の作と伝えられています。枯山水庭園で、15個の石が配された「七五三の庭」とも呼ばれる独特の趣があります。
方丈南庭: 村田珠光または連歌師の柴屋宗長の作と伝えられる庭園です。
* 通僊院庭園: 通僊院から庭玉軒へ至る露地庭で、数個の石と灯籠が配されています。

文化財:

真珠庵には、国宝1点、重要文化財多数が所蔵されています。国宝の『大燈国師墨蹟（看経榜）』は、大字で書かれた豪放にして端正な書風が見事な作品です。重要文化財には、方丈、通僊院、庫裏をはじめ、狩野派や長谷川等伯らの障壁画、一休宗純ゆかりの品々、そして一休宗純の墨蹟など、数多くの貴重な品々が含まれています。これらの作品は、室町時代の美術・文化を知る上で極めて重要な資料です。

アクセス

JR京都駅または京都市営地下鉄烏丸線北大路駅から、京都市バスで「大徳寺前」下車、徒歩にてアクセスできます。

真珠庵は、一休宗純という歴史上の人物と深く関わり、多くの文化財を有する、静謐な空間です。特別公開時には、ぜひ訪れて、その歴史と文化に触れてみてください。

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