半澤周三

半澤周三は、1936年1月に岩手県釜石市で生まれ、2016年7月7日に胃がんのため盛岡市内の大学病院で亡くなったノンフィクション作家です。享年80歳でした。

半澤は新日鐵釜石製鐵所に勤務し、広報担当として社内報「かまいし」の編集に携わりました。また、製鐵所の百年史「炎と共に」の編纂、総合史、労働組合三〇年史の執筆も担当しました。これらの仕事を通じて、地域の歴史や産業、人々の営みに深く触れ、作家としての原点を培いました。

音楽にも造詣が深く、1970年代まで新日鐵釜石吹奏楽部の奏者、指揮者として活動しました。音楽への情熱は、後の著作にも影響を与えています。

1981年には、『海を翔ぶ惇』で第22回講談社児童文学新人賞を受賞し、作家として認められました。その後は、郷土史や産業史に関する著作を精力的に発表しました。

主な著書として、以下のものが挙げられます。

『日本製鉄事始 大島高任の生涯』（新人物往来社 1974年）
『天上音鳴る』（日本吹奏楽指導者協会 1989年）
『光芒の序曲 榊保三郎と九大フィル』（葦書房 2001年）
『南部の大河 史上最大の一揆その攻防』（郁朋社 2001年）
* 『大島高任 日本産業の礎を築いた「近代製鉄の父」』（PHP研究所 2011年）

これらの著作から、半澤周三は、地域に根ざした視点と、歴史や文化に対する深い理解を持つ作家であったことがうかがえます。特に、日本の近代製鉄の父と呼ばれる大島高任に関する著作は、彼のライフワークとも言えるでしょう。

半澤周三は、釜石の製鐵所の歴史に深く関わり、そこで働く人々の姿を描き続けました。彼の作品は、地域社会の記憶を未来に伝える貴重な記録であり、郷土史研究においても重要な資料となっています。彼の業績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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