大島高任

大島 高任（おおしま たかとう）

大島高任は、文政9年5月11日（1826年6月16日）に盛岡藩侍医・大島周意の長男として誕生しました。彼は日本の鉱業技術向上に多大な貢献をした明治時代の著名な鉱山学者です。

経歴

高任は若い頃から才能を発揮し、17歳の時に江戸に留学し、西洋医学や技術を学びました。蘭方医の箕作阮甫や坪井信道に師事した他、長崎では採鉱術に関する知識も習得しました。1853年には水戸藩主の徳川斉昭に招かれ、那珂湊反射炉の建設に関わりました。彼はこのプロジェクトで大砲を鋳造することに成功したものの、砂鉄を原材料としていたため、性能には限界がありました。

その後、彼は良質な鉄鉱石が産出される釜石の地で、西洋式高炉を建設しました。安政4年12月1日（1858年1月15日）には、鉄鉱石からの本格的な連続出銑に成功し、これは商用高炉として初めての成果でした。この功績により、彼は「日本近代製鉄の父」と称されるようになり、その後の明治政府でも高く評価されました。

硬さを極める技術者

1855年には橋野での高炉建設にも参加し、さらなる技術を磨きました。その後、盛岡藩に戻った高任は日新堂を設立し、蘭学に加え英語や医学、物理、化学、兵術、砲術など多くの学問を教えました。明治4年には岩倉使節団に同行し、欧州の鉱山を視察する機会を得ました。

帰国後の1874年、岩手県釜石で新設される初の官営製鉄所について意見を求められましたが、ドイツ人技師ビヤンヒーとの間で意見が対立します。高任は小型高炉と運河整備を提案しましたが、政府はビヤンヒー提案の大型高炉と鉄道整備を選びました。この後、彼は釜石を去ることになりますが、官営製鉄所はその後3年で操業を続けることができませんでした。

日本鉱業界への貢献

1890年には日本鉱業会の初代会長に就任し、業界の発展に寄与しました。後年には那須野での開墾や葡萄園の設営にも関与し、多角的に活動しました。彼の偉業は後世にわたって評価され続け、彼の墓所は盛岡市の永泉寺にあります。

栄典と家族

高任は1888年に勲四等旭日小綬章を受章し、1889年には大日本帝国憲法発布記念章も授与されています。家族の面では、彼の長女であるスケ（繁）は1858年に生まれ、長男の道太郎は冶金学者として知られています。大島家の歴史は、周防国の出身の会津浪人にまで遡り、盛岡において馬医を業としたことに始まります。高任の業績は、単なる技術者としての枠を超え、近代日本の礎を築いた存在として称賛されています。

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