卒業II 〜Neo Generation〜

『卒業II 〜Neo Generation〜』：個性豊かな生徒たちとの育成シミュレーション

1994年5月27日、ジャパンホームビデオ（JHV）より発売されたPC-9800シリーズ対応の育成シミュレーションゲーム、『卒業II 〜Neo Generation〜』。1992年発売の前作『卒業 〜Graduation〜』に続く作品として、多くの家庭用ゲーム機へ移植され、32ビットゲーム機黎明期の代表的な美少女ゲームとして広く知られています。

教師として生徒たちを卒業へ導く

プレイヤーは教師となり、清華女子高等学校に所属する5人の問題児生徒の指導にあたります。それぞれの生徒は個性的な性格と能力を持っており、プレイヤーの指導方法や対応によって、イベント発生や卒業後の進路が大きく変化します。

前作『卒業 〜Graduation〜』では、生徒への指導が画一的でしたが、本作ではシステムが大幅に改良されています。生徒の座席位置を変更できるようになり、隣接する生徒間の相性、座席の前後関係による指導効率の変化がゲームプレイに影響を与えます。さらに、生徒が主人公に対して抱く「好意」と「敬意」をそれぞれ別々のパラメータとして表現することで、より複雑で多様な生徒との関係性を構築できるようになりました。

各機種における違いとPC-FX版の特徴

本作はPC-9800シリーズ版以外にも、PCエンジン、スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーション、そしてPC-FXなど、様々な家庭用ゲーム機に移植されました。特にPC-FX版は、パソコン版やPCエンジン版とは大きく異なるアレンジが加えられています。画面上のパラメータ表示を削減し、生徒の表情やセリフの微妙な変化から、彼女たちの心理状態を読み取るゲームデザインとなっています。ビジュアル面も大幅に強化され、オリジナルキャラクターとして校長先生が登場するなど、新たな要素が追加されています。

個性豊かな生徒たち：それぞれに異なる個性と背景

本作には5人の生徒が登場し、それぞれに魅力的な個性と背景が設定されています。

石橋 美佐子: 生徒会長。成績優秀で品行方正ですが、協調性に欠け、堅物扱いされています。
犬塚 さおり: 大阪生まれのギャンブラー気質。家庭的な一面も持ち合わせています。
シンディ桜井: 日系ブラジル人3世の帰国子女。日本語が不自由ですが、前向きで行動力があります。
谷 由利佳: ハイテンションでトラブルメーカー。記憶力が悪く、学力は低いものの、運動神経は抜群です。
* 安田 舞奈: 芸術家の両親を持つ箱入り娘。おっとりした外見とは裏腹に、コンピューターとオカルトに興味を持っています。

これらの生徒たちは、クレージーキャッツのメンバーに由来した名前が付けられています。

さらに、PC-FX版では、清華女子高校の校長先生も登場し、プレイヤーにアドバイスを与えます。

18禁指定とその後

JHVは1993年にコンピュータソフトウェア倫理機構（ソフ倫）へ加盟しましたが、本作は「未成年者の飲酒・喫煙」表現が理由で18歳未満販売禁止指定を受けました。性表現以外の理由で18歳未満販売禁止となった初めてのケースであり、JHVは当初ソフ倫脱退を検討しましたが、最終的には撤回し、後にR指定（15歳未満販売禁止）へ緩和されました。この18禁指定には、「文脈から非行防止の観点で描かれているのが明白なのに、一場面のみを取り上げての指定は問題ではないか」という批判も存在しました。

高評価と批判：様々な視点からの評価

『卒業II』はゲーム性とストーリー性の向上において肯定的な評価を受けています。しかしながら、週末にも生徒指導が可能になった点については、「生徒にしてみればずっと先生に指導されっぱなしで微妙」といった批判的な意見も存在します。

主題歌「卒業II攻略法」についても、前作同様にゲーム攻略方法を歌詞に含む点や、キャラクターの掛け合いが充実している点が評価されています。

関連作品：多様なメディア展開

本作はゲームソフト以外にも、小説、音楽CD、ドラマCD、フォトCDなど、様々な関連作品が展開されました。これら関連作品を通じて、ゲーム本編では描かれなかったキャラクターたちの背景や人間関係などが深く掘り下げられています。

まとめ

『卒業II 〜Neo Generation〜』は、個性豊かなキャラクターと、前作からの改良が加えられた洗練されたシステム、そして多様なメディア展開によって、多くのプレイヤーを魅了した作品です。32ビットゲーム機黎明期における美少女ゲームの歴史において、重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

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