南シュレースヴィヒ選挙人同盟

南シュレースヴィヒ選挙人同盟（SSW）

南シュレースヴィヒ選挙人同盟（Südschleswigscher Wählerverband, SSW）は、ドイツのシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州を地盤とする地域政党です。この地域はデンマークと国境を接しており、SSWは主に同州に居住するデンマーク系住民の利益を代表しています。

概要

シュレースヴィヒ地方は歴史的にドイツとデンマークの間で領有権が争われ、その南部は現在ドイツ領となっています（シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン問題）。SSWは、この地域における少数民族、特にデンマーク系住民と北フリースラント住民の権利擁護と利益代表を主な目的としています。

政治的な立場としては、SSWは中道に位置し、キリスト教民主同盟（CDU）と社会民主党（SPD）の中間にあたります。北欧諸国の政治、経済、社会システムから学び、地方分権を重視し、有権者に近い政治を目指しています。

シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州議会においては、少数民族の代表として、議席獲得に必要な得票率5％条項（阻止条項）の適用が免除されています。この免除措置により、1960年代から1980年代にかけても州議会で議席を維持することができました。連邦議会においても同様に阻止条項は適用されませんが、当選の可能性や費用負担を考慮し、連邦議会選挙への立候補は限定的でした。しかし、シュレースヴィヒ地方の市町村議会においては、一定の影響力を持っています。

歴史

SSWは1949年の連邦議会選挙で初めて議席を獲得しました。その後、2012年の州議会選挙では3議席を獲得し、SPD（22議席）、緑の党（10議席）と連立を組み、州政権に参加しました。この連立は、三党のシンボルカラー（赤、緑、青）にちなんで「デンマークシグナル」と呼ばれました。SSWが州政治の責任を担うのはこれが初めてであり、アンケ・スポーレンドンクが法務・欧州・文化担当大臣に就任しました。2017年の州議会選挙でも3議席（得票率3.3%）を維持しています。

2021年の連邦議会選挙では、60年ぶりに候補者を擁立し、1議席を獲得しました。この選挙では、デンマーク系住民だけでなく、風力発電などのエネルギー供給地でありながら電気代が高い、道路整備の遅れといった州の課題に対する不満、シンティ・ロマ人やソルブ人など他の少数民族の権利擁護を訴え、幅広い支持を集めました。2025年2月23日に行われた連邦議会選挙でも、引き続き1議席を確保しています。

SSWは、少数民族の権利擁護、地域社会の発展、そして北欧型の社会モデルの導入を目指し、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州およびドイツ全体の政治において独自の役割を果たしています。

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