南ラナオ州

南ラナオ州（ラナオ・デル・スル州）の概要

南ラナオ州（ラナオ・デル・スル州、Province of Lanao del Sur）は、フィリピン南部ミンダナオ島のバンサモロ自治地域（BARMM）に位置する州です。州都はラナオ湖の北岸に位置するマラウィ市です。面積は3,872.9平方キロメートルで、2015年の国勢調査によると人口は1,045,429人です。

名称の由来

「ラナオ」という名前は、マラナオ語の「ranao」（湖）に由来しており、この地域の中心であるラナオ湖の存在が強調されています。マラナオという民族名も「湖の人」という意味を持っており、この地域と湖の深い結びつきを示しています。

地理

南ラナオ州は、南にマギンダナオ州とコタバト州、東に北ミンダナオ地方のブキドノン州、北に北ラナオ州と隣接しています。西側にはモロ湾の一部であるイラナ湾が広がり、州内にはミンダナオ島最大の湖であるラナオ湖が存在します。この地理的な特徴が、南ラナオ州の文化や生活に大きな影響を与えています。

歴史

16世紀から19世紀にかけて、この地域はコタバトに王都を置くマギンダナオ王国の影響下にありました。1689年にスペイン人探検家がラナオ湖を発見し、湖から流れ出る川の出口にダンサラン（現在のマラウィ）という大きな町があることを知りました。ダンサランは、アメリカ統治下のフィリピン・コモンウェルス時代に市となることが決定しましたが、市制が施行されたのは戦後の1950年でした。

1956年、ダンサラン市は、湖から流れ出るアグス川のほとりに咲くユリの花が垂れている様子から、マラナオ語で「もたれる」を意味する「ラウィ (rawi)」にちなんで、マラウィに改名されました。1959年にラナオ州が南北に分割され、南ラナオ州（ラナオ・デル・スル州）が成立し、マラウィが州都となりました。マラウィは1980年に「マラウィ・イスラム市」と改名され、フィリピンの市の中で唯一、ムスリムが多数派を占めています。

南ラナオ州は、以前は北ミンダナオ地方の一部でしたが、1989年の地方再編と住民投票により、イスラム教徒ミンダナオ自治地域（ARMM）に組み込まれ、2019年にはバンサモロ自治地域（BARMM）に移行しました。これにより、地域の自治権が強化され、より独自の文化と歴史を尊重する体制が築かれています。

住民

民族

南ラナオ州には、フィリピンで6番目に人口が多いムスリムのマラナオ人が主に居住しています。彼らは、独自の文化、伝統、生活様式を持っており、この地域の歴史と文化を形成する上で重要な役割を果たしています。

言語

マラナオ語が広く使用されており、その他にフィリピン語、セブアノ語、英語、アラビア語も使われています。地域住民はこれらの言語を使い分け、コミュニケーションを図っています。

宗教

住民の大部分はイスラム教を信仰しています。この宗教は、地域の文化、習慣、価値観に大きな影響を与えており、コミュニティの結束力を高める重要な要素となっています。

南ラナオ州は、その豊かな歴史、文化、地理的な特徴により、フィリピンの中でも独特な存在です。マラナオ人の生活と文化、ラナオ湖の存在、そして自治地域としての変遷は、この地域を理解する上で欠かせない要素となっています。

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