南ローデシア

南ローデシア植民地：セシル・ローズとアフリカ南部植民地の興亡

南ローデシアは、現在のジンバブエ共和国をその版図に含む、かつて存在したイギリスの植民地です。19世紀末から20世紀後半にかけて、複雑な歴史的経緯を経て、独立、そして現代ジンバブエへと至る物語を刻みました。その歴史は、イギリス帝国主義、白人入植者社会、アフリカ民族の抗争、そして国際社会の関与といった要素が複雑に絡み合ったものです。

セシル・ローズとイギリス南アフリカ会社の進出

南ローデシアの歴史は、セシル・ジョン・ローズ卿という人物と切り離して語ることはできません。ローズは、19世紀後半、ケープ植民地首相として、アフリカ大陸南部におけるイギリスの影響力拡大を推進しました。その野望を実現するため、彼はイギリス南アフリカ会社を設立し、マタベレランドとマショナランドへの進出を図りました。この地域には、ンデベレ族などの先住民族が暮らしており、イギリス南アフリカ会社の進出は、彼らの抵抗と衝突を引き起こしました。1893年には第一次マタベレ戦争が勃発し、イギリス南アフリカ会社は軍事力によって先住民を制圧。鉱山開発と土地獲得を進め、支配を強化していきます。1911年には、ローズの名にちなんでこの地域は「ローデシア」と命名されました。

鉱山開発から農業植民地へ、そして自治政府

当初、イギリス南アフリカ会社は鉱山開発に重点を置いていましたが、期待したほどの成果を上げることができませんでした。そこで、方針転換を図り、農業植民地へと転換。白人入植者を招き入れ、農業経営を推進しました。しかしながら、会社の経営は依然として不安定でした。1923年、イギリス政府は南ローデシアに自治政府を樹立。白人入植者社会による自己統治が開始されます。この自治政府は、黒人住民の権利を著しく制限した、白人至上主義的な体制でした。

ローデシア・ニヤサランド連邦と独立運動の高まり

1953年には、南ローデシア、北ローデシア（現在のザンビア）、英領ニヤサランド（現在のマラウイ）が統合してローデシア・ニヤサランド連邦が成立。しかし、民族主義の高まりと白人入植者社会の抵抗により、1963年には連邦は解体しました。この頃、アフリカ大陸では民族独立の機運が高まっていました。1960年の「アフリカの年」を境に、多くのアフリカ諸国が独立を達成していきました。しかし南ローデシアでは、白人少数派による支配が継続されました。

一方的独立宣言とローデシア問題

1965年、南ローデシアの白人首相イアン・スミスは、イギリス政府の承認を得ずに一方的に独立を宣言。これにより、「ローデシア問題」と呼ばれる国際紛争が勃発しました。スミス政権は、白人至上主義に基づく政策を貫き、黒人に対する弾圧を強行しました。これに対して、イギリス、国連、そして多くのアフリカ諸国は、スミス政権を非難。制裁措置を講じました。南ローデシアをめぐる紛争は、長年にわたる内戦へと発展していきました。

南ローデシア問題の終結とジンバブエへの道

1970年代後半から、南ローデシアでは、内戦終結に向けた交渉が進められました。イギリスの仲介のもと、黒人勢力と白人勢力が合意に達し、1979年にランカスターハウス合意が成立。1980年、ジンバブエが独立を達成。長い植民地支配と内戦の時代は幕を閉じ、新たな国家が誕生しました。しかし、独立後のジンバブエも、経済的、政治的な課題を抱えることとなり、その歴史は今もなお続いています。南ローデシアの歴史は、帝国主義、人種差別、民族解放闘争といった、複雑で暗い側面を反映した、アフリカの歴史の一端を私たちに示しています。

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