南京国民政府の行政区分

南京国民政府の行政区分: 1927年から1949年までの概略

南京国民政府は、1927年に発足し、1949年に政府が台湾に移転するまでの間、中国大陸の行政区分を形成しました。この時期には、孫文が提唱した省と県の二級制が復活し、北京政府時代にあった道制が廃止されました。新たに設立された省、県、区、郷等の行政制度が確立され、特に国共内戦中における統治強化を目的とした行政督察区制度も導入されました。

1. 行政区分の確立

南京国民政府の成立に伴い、中華民国の首都は北京から南京に移され、これに合わせ多くの行政区画の再編が行われました。まず、河北省など他省の改称や新設があり、例えば、熱河省や綏遠省が設置されるなど、総じて国民政府は国土の整理を進めました。1945年の日本の敗戦後には、旧満洲国や台湾も国民政府の管轄に組み入れられ、これら地域を含む35省、12院轄市、209行政督察区を管理する体制が整いました。

2. 県級行政区画の構成

南京国民政府が管理した県級行政区は、主に県、設治局、直轄市の区から構成されていました。新設された県は一般的に辺境省に属し、設治局の管轄区域から地域人口が増加したことを受けた設置が多く見られました。特に、管轄の重複を避けるために、名称変更も行われ、特定の県名は少数民族を蔑視する意図があるとされて改名されました。

3. 市制の整備

1927年から1945年の間に、市制の整備も進められました。特に、特別市の設置が提唱され、上海や南京など全国的な都市の特別市認定が行われました。1930年には『新市組織法』が制定され、市の等級が廃止され、より独立した行政単位として特別市や普通市が設置されることになりました。1945年には日本軍の占領下にあった地域を再び国民政府が接収し、新たに多くの都市が管轄下に置かれました。

4. 行政督察区制度の導入

南京国民政府では、縦の行政機関とも言える行政督察区制度を設け、各県に対する監視と指導を強化しました。特に反共産主義政策を進める中で、各県の行政実務についてもより効率的な管理を目指す必要が生じたため、この制度は重要な役割を果たしました。この制度は、1932年に正式に設立され、その後戦時体制の中でさらに強化され、1949年まで続きました。

5. 戦後の変遷と影響

1949年6月に海南特別行政区が設置された際、南京国民政府はその権限を中央政府に返還しました。しかし、同年末には国共内戦による敗北が決定的となり、政府は台湾に移転し、そこでの行政体制が確立されることになりました。その後の台湾の行政区分は1949年の改編を基に進められ、台湾の実効支配地域は限定されましたが、大陸の名目上の行政区分は維持され続けました。

総括

南京国民政府の時代、行政区分の改革は中国政治の流れに大きな影響を与え、その後の歴史的背景においても重要な位置を占めています。省県二級制の確立や市制の整備を通じて、行政の効率化を図ることが試みられましたが、戦争や政治的対立の中でさまざまな課題が生じました。

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