南国育ち

『南国育ち』：沖スロブームを牽引した人気機種

2004年5月、オリンピア株式会社より発売されたパチスロ機『南国育ち』は、25パイと30パイの2種類の機種が存在し、特に30パイ機種は8種類の異なるパネルデザインが用意されていました。愛称は「南国」もしくは「育ち」で、業界用語では「沖スロ」として分類されます。

独特のゲーム性とボーナスシステム

本機最大の特徴は、そのボーナス告知システムにあります。オリンピア製沖スロの特徴であるパトロット（パトライト）を搭載し、「チカッ！」という点灯と「キュイーン！」という音でボーナスを告知します。さらに、多くの沖スロ機種とは異なり、リプレイはずしの効果が非常に高く、プレイヤーの技術介入度が勝利に大きく影響しました。

ボーナスにはBIGとREGがあり、BIGでは3回目のJACゲーム、REGでは8ゲーム目のJACゲーム中にリール左側の蝶の絵柄（バタフライランプ）が点灯すると、1G連が確定します。これは「蝶が飛ぶ」と呼ばれ、シャラーンという効果音とともに、1G連が開始されます。ボーナス終了後すぐに告知されても「蝶が飛ぶ」現象が発生し、これは1G連モードのいずれかに滞在していることを示しています。モード間を遷移する間は、蝶が飛び続けます。

7連以上の1G連に到達すると、ボーナスゲームのBGMが『南国物語』のものに変更される演出も存在しました。通常時は4つのモードを遷移し、ボーナス放出ごとにモード移行抽選が行われます。単発ボーナスが続くほど、1G連モードに突入しやすいモードに移行する確率が高まるため、「蝶が育つ」という表現が用いられました。特に設定6では、初当たりが早く、1G連が3連までに収まる傾向があり、単発と3連を繰り返すパターンが多かったため、プレイヤーにとって判別が容易でした。

ボーナス放出条件と天井システム

ボーナスは次の3つの条件を満たすと放出されます。

1. 設定に依存した解除抽選に当選（毎ゲーム抽選）
2. 純ハズレ成立
3. 天井ゲーム数到達（3つの通常モードは996G、1つは6000G）

通常プレイでは6000G到達はほぼ不可能なため、このモード滞在中は天井でのボーナスは期待できません。しかし、このモードでボーナスが放出されると、その後1G連モードへの移行確率が約60％（設定差なし）に上昇するという特徴がありました。小役フラグ成立時はボーナス告知が遅延され、小役が連続するほど期待感が増します。さらに、スタート音の遅れも搭載されており、遅れ発生時はボーナス当選の可能性が高まります。遅れが発生しなかった場合でも、1G連モードへの移行確率が最も低いモードに滞在している可能性が排除されるため、次のボーナスでの1G連に期待が持てます。

多様なメディア展開

『南国育ち』は、オンラインゲームサイト『777town.net』でもプレイ可能でした。2009年には、コムシードよりニンテンドーDS用ソフト『南国育ちDS』が発売され、4号機と5号機の2バージョンが収録されました。

漫画方面では、こむそう氏による4コマ漫画が『月刊ヤングマガジン』にて連載され、単行本1巻が刊行されました。しかし、作者の体調不良により無期限休載となり、その後2017年の作者逝去により未完作品となりました。その後、新たな作家による作品が連載開始されました。

2006年9月頃に検定期限切れとなり、全国のホールから撤去されましたが、その人気は後継機種『南国娘』や、5号機版『南国育ち』へと受け継がれていきました。そのゲーム性や演出は、多くのプレイヤーに長く愛される要素となっています。

もう一度検索