南太平洋非核地帯条約

南太平洋非核地帯条約の概要

南太平洋非核地帯条約（South Pacific Nuclear Free Zone Treaty）は、南太平洋地域での核兵器の製造や使用を禁止し、この地域を非核化するための国際的な枠組みです。この条約は、ラロトンガ島での調印を受けて「ラロトンガ条約」とも呼ばれています。1985年8月6日に、旧南太平洋フォーラムに加盟する8カ国によって調印され、2009年3月時点で太平洋諸島フォーラムの16加盟国中13カ国がために効力を持っています。

発効までの経緯

この条約の成立には、いくつかの重要な歴史的背景があります。1966年、フランスが南太平洋で核実験を繰り返していたことが、地域内での核実験反対の運動を活発化させました。1975年には、国連総会において南太平洋に非核地帯を設けることを支持する決議が採択されました。その後、1983年にはオーストラリアに労働党政権が誕生し、非核地帯設置の動きが一層加速しました。そして1985年、南太平洋フォーラムの総会において正式に条約が採択され、翌1986年には発効を迎えました。

現在の加盟国

現在、南太平洋非核地帯条約には13の国と地域が加盟していますが、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオの3国は未署名の状態です。この条約は核軍縮だけでなく、索漁科学の進展による生態系への影響を考慮しています。

主な内容

条約では、締約国による以下の行為が禁止されています:
1. 核爆発装置の製造、取得、所有、管理および自国領域内での配備や実験。
2. 域内海洋を含む放射性物質の投棄。

さらに、条約の議定書には核兵器国からの圧力に対する保護のため、以下の行為も禁じられています:

• - 締約国に対する核兵器の使用およびその威嚇。
• - 域内での核実験。これにより、条約は地域内の平和と安全を確保する大きな役割を果たしています。

その他の関連情報

ラロトンガ島はクック諸島の首都であり、条約の調印日は広島に原子爆弾が投下された日からちょうど40年後に当たります。条約成立の大きな背景には、フランスの核実験再開や、日本による放射性廃棄物の南太平洋処分の試みなどの要素があります。

なお、ニュージーランドは当条約に署名した同年に、核兵器搭載の可能性がある米国艦艇の寄港を拒否した結果、米国はニュージーランドの防衛義務を取り消す事態になりました。

参照と関連項目

南太平洋非核地帯条約の他にも、多くの地域での核兵器禁止に向けた国際的合意があります:

• - 1967年のラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約（トラテロルコ条約）
• - 1995年に成立した東南アジア非核兵器地帯条約（バンコク条約）
• - 1996年のアフリカ非核兵器地帯条約（ペリンダバ条約）
• - 2006年の中央アジア非核兵器地帯条約（セメイ条約）

詳しい条約データベースは国際連合軍縮部にて確認できます。

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