南山王国

南山王国：琉球三山を彩る南の王国

沖縄本島南部、現在の糸満市を中心とした地域に存在した南山王国は、琉球三山の一つとして知られています。中国明からは山南王国と呼ばれ、独自の文化と政治体制を築き上げたこの王国は、14世紀初頭から15世紀初頭までの約100年間、沖縄の歴史に大きな足跡を残しました。

建国と歴代国王

南山王国の建国は、少なくとも14世紀初頭のこととされています。大里按司承察度が周辺の按司を統一し、南山王の地位に就いたことが始まりです。承察度は英祖王の五男、大里王子の子孫であったと伝えられています。しかし、その後、汪英紫によって王位を奪われたという説も存在します。

承察度が明に朝貢したという記録もありますが、明の記録には1385年、汪応祖が「琉球国山南王」の印綬を受けたことが記されています。南山王国はその後も明への朝貢を続け、通算22回に及んだとされています。

南山王国の歴代国王としては、承察度、汪英紫、汪応祖、達勃期、そして最後の国王である他魯毎が知られています。彼らの治世下で、南山王国は独自の政治、経済、文化を形成し、繁栄を謳歌しました。しかし、その歴史は長くは続かず、1429年に終焉を迎えることになります。

滅亡と歴史的意義

南山王国の滅亡は、中山王尚巴志による征服によって引き起こされました。尚巴志は、その父である尚思紹が南山王国の佐敷按司であったことから、南山王国との繋がりを持っていました。尚巴志はまず中山王家を滅ぼし、その後北山王国、そして南山王国を征服、統一することで、琉球王国の礎を築きました。

南山王国の居城は南山城でした。尚巴志による征服後、南山城は廃墟と化し、山南王賜印の行方も現在では不明です。

南山王国は、琉球三山時代における重要な勢力の一つであり、その存在は沖縄の歴史に大きな影響を与えました。明との外交関係や独自の文化、そして最終的な中山王国への統合という歴史的展開は、沖縄の歴史を理解する上で欠かせない要素となっています。その短いながらも力強い歴史は、現代においても研究者や歴史愛好家の関心を集め続けています。

参考文献

『中国・琉球交流史』徐恭生（1991）、西里喜行・上里賢一訳、ひるぎ社
梅木哲人『新琉球国の歴史』法政大学出版局、2013、ISBN 978-4-588-32130-6
* 村井章介『古琉球 海洋アジアの輝ける王国』、株式会社KADOKAWA、2019、ISBN 978-4-04-703579-9

これらの文献は、南山王国に関するより詳細な情報、及び琉球三山時代の歴史的背景を理解する上で役立ちます。 沖縄の歴史に興味のある方は、ぜひこれらの文献も参照してみてください。

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