南島 (東京都)

南島の魅力と自然

南島（みなみじま）は、東京都小笠原諸島にある父島列島の一部であり、その大部分は無人で原始的な自然が広がっています。この島は、父島の南西側に位置し、特にその地形がユニークな点で知られています。沈水カルスト地形が成り立っているこの地域は、第三紀に由来しており、海水面の変動によって形成されました。

典型的な沈水カルスト地形

南島では、氷期における海水面の下降時に形成されたカルスト地形が、海面上昇によって水に浸されたことで独特の景観を生み出しています。2008年には、「小笠原南島の沈水カルスト地形」として国の天然記念物に指定され、この地域の重要性が高められました。このような地形は、他の地域では沖縄県の下地島などで見られますが、南島のものは非常に貴重なものです。

ヤギの影響と植生回復

かつて南島は、常緑低木が生い茂る豊かな自然に覆われていましたが、ヤギによる食害が原因でその姿は大きく変わりました。現在では、ところどころに地面が露出する様子が見られます。このため、昭和40年代にはヤギが駆除され、植生の回復を試みる動きが始まりました。さらに、2003年からは自然保護の観点から観光客の入島に際して厳しいルールが設定されるようになりました。

観光のルールと入島方法

南島へのアクセスは簡単ではありません。桟橋や港がないため、船で島の南側にある大きな入り江の鮫池に着岸して、舳先から降りるか、西側の小さな入り江の扇池にカヤックや泳いで上陸する必要があります。個人での入島は制限されており、必ず東京都の自然ガイドが同行するツアーに参加しなければなりません。上陸時には、外来種の持ち込みを防ぐために、靴を海水で洗うことが求められます。また、定められたルート以外は立ち入り禁止となっており、1日の入島人数は100人に制限されています。特に11月から翌年2月は植生を保護するための上陸禁止期間が設けられ、年末年始を除く他の期間でも厳しいルールが適用されます。

動植物の多様性

南島には、特に希少な動植物が生息しています。例えば、ヒロベソカタマイマイは約1000年前に絶滅したとされ、現在も島内には多くの半化石が残っています。興味深いことに、法律によりこれらの化石を持ち出すことは禁じられており、貴重な生態系が守られています。さらに、アオウミガメは南島の産卵地の一つであり、島の生態系において重要な役割を果たしています。

このように南島は、その独特の地形や限られた生態系、厳しい観光ルールによって、特別な自然体験を提供しています。訪れる際には、環境を尊重し、自然保護に協力することが求められます。

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