南極の歴史

南極の歴史についての詳解

南極大陸は、約3,000万年前の漸新世から氷に覆われた厳しい環境にある地域であり、先住する人々が存在した形跡はありません。この地の探索の歴史は、さまざまな探検家による印象や報告によって彩られています。

南極発見前史

南極に関する記録は古く、西ヨーロッパにおいては古代から伝えられていた南方大陸に関する伝承が存在しました。ギリシャのプトレマイオスによる紀元150年頃の地図には、未知の南の大陸が示されており、当時から南極大陸の存在が考えられていたことが伺えます。

ポリネシア人も南の海で「氷」の存在を目撃しており、650年に航海者ウィ・テ・ランギオラが暴風雨に遭い、氷の浮かぶ海に達したエピソードが伝えられています。また、1513年にはオスマン帝国の提督、ピリ・ムハメドの地図に南アメリカ大陸と接続するような形で描かれた海岸線が含まれていましたが、これは南極大陸を指すものとは考えられていません。

16世紀以降、大航海時代に入ると、南半球の未知の海域への航海が盛んになり、様々な探検者が南の大陸を求めて航海を行いました。1580年代には、フランシス・ドレークが南半球の探検を通じて、「テラ・オーストラリス」と呼ばれる南の大陸を記した地図が作成され、後の地図製作に影響を与えました。また、ジャン＝バティスト・シャルル・ブーヴェ・ド・ロジエによる1739年の報告では、多数の氷山が確認され、南極探検の神秘が増しました。

南極大陸の発見

1820年に南極大陸はついに発見されましたが、初発見者に関しては議論が続いています。ロシアのベリングスハウゼン、イギリスのブランスフィールド、アメリカのパーマーのいずれかが発見したとされています。彼らは発見をほぼ同時期に行っており、パーマーはオルレアン海峡に入り、同海峡の一部が南極大陸であると確認したとされます。1821年には、アザラシ漁師ジョン・デイヴィスが南極大陸への初上陸を報告しましたが、これには議論があります。

南極大陸探検の歴史

1831年には南磁極に対する興味が高まり、イギリスのジェームズ・クラーク・ロスが南極探検を実施しました。彼は南緯78度まで到達し、さまざまな新地名を発見しました。1897年には、アドリアン・ド・ジェルラシが南極探検隊を結成し、約13か月間にわたり漂流する出来事がありました。この探険隊にはロアール・アムンセンも加わり、南極の厳しい環境で越冬を経験しました。

20世紀に入ると、イギリスのロバート・スコットが南極探検を行い、1912年には自らの隊が南極点に到達。しかし、彼は帰路に遭難し、探検隊は全滅することになります。一方で、アムンセンは1911年に成功裏に南極点に到達を果たしました。

その後、アーネスト・シャクルトンが新たな探検隊を結成しましたが、彼の船は氷に閉じ込められ、9ヵ月後に沈没しました。それにもかかわらず、全員が生還するというドラマチックな結末となっています。

科学的観測の進展

南極の探検は続き、アメリカのリチャード・バードが1928年から南極へ何度も訪れ、航空機を用いた探査を行いました。1930年代から1940年代にかけては国いわくの領有権主張が見られましたが、南極条約によって領有権は凍結され、国際的な協力が促進されることとなりました。

このように、南極の歴史は多くの探検者と科学者の努力によって築かれており、今なおその研究の価値は高まっています。

もう一度検索