漸新世

漸新世 (Oligocene)

漸新世は、約3400万年前から約2300万年前までの期間を指し、古第三紀の最後の時代として知られています。この時代はチャッティアン期とルペリアン期の2つに区分され、地球の環境と生物の進化において重要な特徴を持っています。

気候

漸新世の初期には、一時的に気温が低下し、気候が不安定になる現象が見受けられました。この気候変動は、同時期の大海退や動物の大量絶滅と関連していると考えられています。原因は地球外からの影響、例えば巨大隕石や彗星の衝突によるものという説がありますが、確証はありません。中期以降は、比較的温暖で安定した気候が広がり、北極の海氷や南極大陸の氷床がこの時代に形成されたという見解もあります。

海陸の分布

初めの頃、大規模な海退が起こり、北アメリカとヨーロッパは大西洋によって分断されましたが、北アメリカとアジアはベーリング海峡の近くでつながり、動物が移動できる状況が続きました。また、北アメリカと南アメリカは、白亜紀の時代から続く大アンチル諸島を通じて接続されていましたが、南に移動していきました。インドのアジア大陸への衝突が進行する中で、テチス海は急速に消失していき、これが気候変動や動物の絶滅の要因とされています。アフリカ、南アメリカ、オーストラリア、南極といった各大陸は海によって隔てられ、孤立した状況にありました。アルプス山脈やヒマラヤ山脈の形成が始まり、北アメリカ西部でも造山運動が続いていました。

生物相

陸地の分断は、動物相の地域的な違いを生む要因となりました。前の時代に栄えた動物の多くは、この時代の初期に絶滅し、代わりに新しい種の登場が確認されます。特に哺乳類の進化は顕著で、特に大型化が進みました。アジア産のパラケラテリウム（インドリコテリウム）は、史上最大の陸生哺乳類として知られています。ゾウの仲間はアフリカで進化を遂げましたが、他の大陸へは進出していませんでした。また、類人猿はオナガザル上科から分かれる形で登場し、アフリカからヨーロッパ・アジアへと広がりました。肉食性哺乳類の中では、原始的な肉歯目から現在のトラやライオンなどを含む食肉目へと変遷が見られます。

この時代、植物食性の哺乳類では中生代から存続していた多丘歯目が姿を消し、多くの大型植物食性哺乳類も絶滅に至りました。海洋においては、前の始新世で栄えた原クジラ亜目の多くが滅びましたが、一部は現存する鯨類へと進化しました。オーストラリアでは、有袋類の化石はまだ見つかっていないものの、一部は他の地域から入ってきていた可能性があります。南アメリカでは孤立した地理的環境が独自の生物進化を促し、有蹄類が広がりました。また、アフリカ大陸からいくつかの小型動物も流入したことが示唆されています。

このように、漸新世は地球の気候や生態系が大きく変化した時代であり、その後の地質時代に多大な影響を与えました。

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