南橘町

南橘町（なんきつまち）

概要

南橘町は、群馬県前橋市の北部に位置する地域です。郵便番号は371-0043が適用されています。2013年時点での面積は約0.1平方キロメートルと比較的小規模な町域となっています。

この地名は、前橋市営の南橘団地が整備される際に、周辺の日輪寺町、荒牧町、青柳町のそれぞれ一部地域を分離・統合することで新たに誕生しました。地域構造としては、町域のほぼ全体が大規模な住宅団地によって占められているのが大きな特徴です。団地は前橋市が管理する市営団地、群馬県が管理する県営団地、そして一部に分譲住宅地が設けられており、多様な居住形態が見られます。町域の境界は、団地全体を取り囲む外周道路によって区画されています。

地理的には、南橘町は北側を日輪寺町に、西側を荒牧町に接しています。また、東側と南側は青柳町に面しており、これらの周辺地域に囲まれた立地となっています。

歴史

南橘町という地名は、昭和37年（1962年）に正式に成立しました。これは、隣接していた青柳町、日輪寺町、荒牧町の各一部区域を統合することによって生まれた新しい地域です。

南橘町の成立には、それ以前に発生した自然災害が深く関わっています。昭和22年（1947年）に日本列島を襲ったカスリーン台風は、この地域にも大きな影響を与えました。特に、町の近くを流れる赤城白川沿いでは大規模な山津波が発生し、大量の土砂が南橘町一帯にまで流れ込み、堆積しました。

もともと、この地域は赤城山の南麓に広がる扇状地の末端部に位置しており、水利や土壌の条件から農業の生産性がさほど高い地域ではありませんでした。カスリーン台風による大量の土砂堆積は、この農業生産性の低さを一層深刻なものとしました。しかし、その一方で、この広範な土砂堆積地は、その後の土地利用を大きく変える契機となりました。

大量の土砂によって形成された広大な平坦地は、宅地開発にとって有利な条件を提供しました。戦後復興期における住宅需要の増大を背景に、この土地は大規模な住宅団地として開発される計画が進められました。こうして南橘町は、群馬県内でも最も早く、本格的な住宅団地開発が行われた地域の一つとなりました。団地の建設は、昭和36年（1961年）から昭和45年（1970年）にかけて集中的に進められ、多くの世帯が移り住み、今日の南橘町の基礎が築かれました。

年表として見ると、南橘町が青柳町、日輪寺町、荒牧町の各一部から合併して成立したのが1962年となります。この成立年は、まさに団地建設が本格化していた時期と重なります。

交通

南橘町内には、鉄道駅は設置されていません。公共交通手段としてはバスが利用されていますが、具体的な路線や運行状況についてはここでは詳述しません。道路網に関しては、町域内を直接通過する国道や主要な県道はありません。しかし、比較的近距離に交通量が多い国道17号線が通っており、自動車でのアクセス性は確保されています。

主な施設

南橘町の中心的な施設は、町の名前の由来ともなっている南橘団地です。具体的には、前橋市が運営する南橘市営住宅や、群馬県が運営する南橘県営住宅といった大規模な公営住宅群が核となっています。

まとめ

南橘町は、過去の自然災害を契機とした土地の物理的変化が、その後の地域の成り立ちに大きく影響を与えた事例と言えます。かつて農業生産性が低かった土地が、カスリーン台風による土砂堆積を経て、戦後における住宅需要に応える形で、県内でも先駆的な大規模住宅団地として計画的に開発された、比較的新しい歴史を持つ地域です。

関連項目

南橘村

出典・参考文献

• - 「角川日本地名大辞典 10 群馬県」編纂委員会 編 (角川書店, 1988年)
• - 前橋市 公式ウェブサイト

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