南白亀川

南白亀川：九十九里平野を流れる歴史と自然の川

南白亀川は、千葉県房総半島東部、九十九里平野を流れる二級河川です。大網白里市に源を発し、東金市、茂原市、長生郡白子町を流れ、九十九里浜に注ぎ込む、全長21.7kmの河川です。その名の由来は、白子町にある白子神社の白亀と白蛇の伝承にちなむとされています。平安時代の昔、白い亀が白蛇を背負って海を渡ってきたという伝説が、この地の歴史と深く関わっています。

地理と環境：多様な生態系と景観

南白亀川は、上流部は丘陵地帯を流れ、中下流部は水田や畑が広がる平野部を蛇行しながら流れます。流路沿いには、多くの支流が合流し、川幅も変化に富んでいます。中下流部には遊歩道が整備され、桜並木が美しい景観を作り出しています。

河川環境は上流と下流で大きく異なります。上流は清水堰によって湛水区間となり、アズマネザサやススキが生い茂り、コイやギンブナなどの淡水魚が生息しています。一方、下流は感潮区間で、ヨシ原が広がり、シマイサキ、ボラ、マハゼなど汽水域特有の魚が見られます。潮の満ち引きを利用したイカダのぼり大会も毎年開催され、地域の人々の生活と密着した川であることが分かります。

河口部は、千葉県のレッドデータブックで最重要保護生物に指定されているアカウミガメの産卵地としても知られており、貴重な生態系を維持しています。かつてはハゼ漁なども盛んに行われていましたが、現在は南白亀川漁業協同組合が漁業権を有し、漁獲量は減少しています。水位観測は行われていますが、流量観測は行われていないのが現状です。

治水：歴史と現代の取り組み

南白亀川の治水事業は1948年から開始され、現在では中下流部に引堤などの整備が進んでいます。しかし、上流部は未改修の箇所も多く、市街化の進行に伴い、浸水被害の危険性も指摘されています。下流部では地盤沈下も懸念されています。

一方で、かつては渇水による農業用水不足が問題となっていました。そのため、上流部には多くの溜池が造られ、農業用水として利用されてきました。1965年の両総用水の完成により、利根川からの導水が可能となり、渇水被害は解消されました。

主要な橋梁と支流

南白亀川には、JR東金線橋梁、国道128号・409号大網バイパスに架かる新堀橋など、多くの橋が架かっています。また、境川、小中川、赤目川など、多くの支流も合流しています。これらの支流も、地域の水環境に重要な役割を果たしています。

まとめ：地域社会を支える南白亀川

南白亀川は、歴史と自然が織りなす美しい景観と、地域社会の生活を支える重要な役割を担う河川です。アカウミガメの産卵地としての役割も重要な要素であり、自然環境の保全と、治水対策の両面から、この貴重な河川の未来を見据えた取り組みが求められています。今後も、地域住民と行政による継続的な努力が不可欠です。

もう一度検索