南紀徳川史

南紀徳川史

『南紀徳川史』（なんきとくがわし）は、紀州藩の歴史を詳細に記録した歴史書であり、1901年に完成しました。

編纂の経緯

紀州徳川家当主であった徳川茂承（第14代紀州藩主）が、紀州藩の歴史を後世に伝えるために編纂を命じました。編纂の中心人物は、旧紀州藩士の堀内信であり、1888年から1901年までの期間にわたり編纂作業が行われました。

本書は、紀州徳川家の初代・徳川頼宣が生まれた1602年から、廃藩置県が行われ茂承が東京へ移住する1871年までの約270年間を扱っています。この期間は、紀州藩の成立から幕末、そして明治維新という激動の時代を含んでいます。

完成した刊本は全18冊で構成されており、内訳は本文が17冊、総目録が1冊となっています。1899年4月には前集70巻の浄書2部が完成し、1部が紀州徳川家に、もう1部が南龍神社に奉納されました。1901年には後集100巻が完成し、紀州徳川家に納められています。

出版と復刻

『南紀徳川史』は、1930年から1933年にかけて南紀徳川史刊行会によって刊行されました。戦後には、1970年から1972年にかけて名著出版より復刻刊行され、再び世に出ることとなりました。

内容と評価

本書は、紀州藩の政治、経済、文化、社会など、多岐にわたる分野を網羅しており、紀州藩の歴史を研究する上で貴重な資料となっています。特に、藩の職制、郡制、財政、軍制、法令制度、典礼、寺社制、学制、城郭邸園誌、刑法など、詳細な記述は他に類を見ません。

しかし、旧紀州藩士・岡崎邦輔の孫である岡崎久彦は、本書が佐幕、保守の立場から書かれている点を指摘しています。そのため、幕末の動乱期に関する記述は、必ずしも客観的とは言えない部分も含まれている可能性があります。

目録構成

『南紀徳川史』は、以下の内容で構成されています。

第5巻 - 名臣伝
第6巻 - 名臣伝、文学伝、武術伝
第7巻 - 武術伝、方技伝、俊傑伝、孝子伝、烈女伝、高僧伝
第8巻 - 職制
第9巻 - 職制
第10巻 - 郡制
第11巻 - 郡制
第12巻 - 財政、軍制
第13巻 - 軍制
第14巻 - 法令制度、典礼
第15巻 - 典礼
第16巻 - 服制、寺社制
第17巻 - 学制、城郭邸園誌、刑法

関連事項

紀州徳川家
紀州藩
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