南西アフリカ人民機構

南西アフリカ人民機構（SWAPO）

南西アフリカ人民機構（South-West Africa People's Organisation、SWAPO）は、ナミビア（旧南西アフリカ）の独立運動を主導した政党です。

歴史

SWAPOは、元々ナミビアがドイツ領だった時代に独立運動を行っていた勢力が、第一次世界大戦後に結集してできた武装組織でした。1960年代に強硬派武装組織から大衆組織へと改組され、合法的な手段（時には武力も用いる）で独立を求めるようになりました。

独立までの道のり

ナミビア北部に居住するオヴァンボ人を中心に組織され、ドイツ撤退後の南アフリカによる統治に抵抗しました。国際社会へ人権状況を訴えるなどの活動も行っています。1966年からは、ザンビアを拠点にナミビア独立戦争を開始し、1973年には国際連合総会でナミビア代表として承認されました。

当初、SWAPOはオバンボ人とオヴィンブンド人が文化的に近かったことから、隣国アンゴラの独立勢力であったオヴィンブンド人主体のアンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)と親密な関係にありました。しかし、アンゴラ独立後、UNITAが冷戦を背景に国際化するアンゴラ内戦の中で、SWAPOの仇敵である南アフリカとの同盟を図ったため、SWAPOとUNITAの関係は冷却化しました。その後、SWAPOは南アフリカと戦うアンゴラ解放人民運動(MPLA)との友好関係を強化し、1976年6月にはアンゴラの首都ルアンダに本拠地を移転しました。

1976年時点でのSWAPOの軍事力は、隣国のアンゴラ、タンザニアの拠点に兵士4500人を擁していました。兵士は、中華人民共和国やソビエト連邦の軍事支援により、ゲリラ活動などの訓練を受けていました。

その後、SWAPOはアンゴラを拠点に、アンゴラに展開していたキューバ軍やアンゴラ政府軍と共に南アフリカ国防軍やUNITAと戦いました。1988年には、キューバ軍のアンゴラ撤退とナミビアの独立をリンクさせるリンケージ政策がアンゴラ、南アフリカ、キューバ政府の間で認められたこともあり、1991年7月までにキューバ軍が撤退し、ナミビアの独立が承認されました。

独立後

1990年にナミビアが独立を達成すると、SWAPO議長のサム・ヌジョマが初代大統領に選出され、SWAPOは政党として活動を開始しました。ナミビアでは独立以来、ヌジョマ政権が続きました。また、中道左派・社会民主主義政党の国際組織である社会主義インターナショナルに加盟しました。

2004年11月15日から16日に行われた大統領選では、ヌジョマの指名したSWAPO候補としてヒフィケプニェ・ポハンバ土地相が当選しました。同時に行われた議会選でも、改選72議席中55議席を獲得し、SWAPO政権の継続が確定しました。

2014年11月28日には、大統領3選禁止の規定に伴い、ポハンバを除いた大統領選が行われました。2012年から二度目の首相職を務めていたSWAPO副代表のハーゲ・ガインゴブが当選し、SWAPO政権の長期化が決定しました。ガインゴブの任期は2015年3月21日から開始され、後任の首相にはサーラ・クーゴンゲルワが就任しました。同時にガインゴブがSWAPO議長代行に就任し、2017年11月に正式にSWAPO議長に選出されました。2019年11月27日の総選挙・大統領選挙では、ガインゴブが56.3%を得票し再選されましたが、総選挙は63議席にとどまり、過半数は得たものの3分の2を割り込みました。

現在もSWAPOはナミビアの政治において中心的な役割を果たしており、その動向が注目されています。

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