南アフリカ国防軍

南アフリカ国防軍（SANDF）

南アフリカ国防軍（South African National Defence Force, SANDF）は、南アフリカ共和国の軍隊です。陸軍、海軍、空軍、そして統合医療部隊から構成されています。

概要

SANDFは、4つの軍を統括する統合作戦機関の下にあります。ただし、特殊部隊旅団は統合作戦機関から直接指令を受け、作戦を実行します。アパルトヘイト時代の南アフリカ防衛軍（SADF）から再編され、人種構成も大きく変化しました。現在では、黒人、白人、カラード（混血）、インド系など、多様な民族構成となっています。

歴史

SANDFの起源は、1912年に編成された南アフリカ連邦防衛軍に遡ります。ケープ植民地がイギリスの支配下にあった時代には、イギリス軍の予備部隊として機能していました。

1966年に国防大臣に就任したピーター・ウィレム・ボータは、南アフリカ国境戦争を通じて、SADFを国外の脅威に対処できる軍隊に変革する必要性を認識しました。アパルトヘイトに対する国際的な経済制裁が強化される中、南アフリカはアフリカの他の国々よりも近代的な軍事力を持つことに注力しました。

ボータが大統領に就任すると、軍備はさらに増強され、大量破壊兵器の開発も進められました。1975年からは、南西アフリカ（ナミビア）の国境紛争だけでなく、隣国アンゴラへの武力侵攻も開始し、アンゴラ内戦に直接介入しました。1987年から1988年にかけてのクイト・クアナヴァレの戦いは、第二次世界大戦以降のアフリカ大陸における最大規模の戦闘の一つとなりました。

1994年のアパルトヘイト廃止後、白人中心だったSADFは再編成され、現在のSANDFが設立されました。旧バントゥースタンの軍隊や、アフリカ民族会議などの武装勢力の構成員も編入され、多様な構成となりました。

大量破壊兵器開発

南アフリカは、アパルトヘイト時代に生物兵器、化学兵器、核兵器といった大量破壊兵器を保有していました。1981年に開始された「プロジェクト・コースト」では、炭疽菌やボツリヌス菌の研究、暗殺用毒物の開発、黒人の人口増加を抑制するための不妊化ワクチンの研究などが行われました。アパルトヘイト政策放棄後、1995年にプロジェクトは廃止されました。また、イスラエルから導入したエリコを基に、弾道ミサイルのRSAシリーズも開発しました。

各軍の装備

陸軍

オリファント戦車、ルーイカット装甲車、ラーテル歩兵戦闘車、G6ライノ自走榴弾砲など、国産の機械化装備を多数保有しています。歩兵の個人装備としては、ベクターR4/R6シリーズが主力ですが、ダネルMGLやダネルNTW-20などのユニークな装備も見られます。対戦車兵器としては、RPG-7、ダネルFT5ロケットランチャー、ZT3イグウェ・ミサイルなどが使用されています。

海軍

広大な沿岸と経済水域の警備を主な任務としています。「海軍増強近代化11カ年計画」を推進し、外洋海軍としての能力向上を目指しています。ドイツ製のMEKO A-200 SAN型フリゲート（ヴァラー級）やU209型潜水艦を導入しています。艦載ヘリコプターは空軍の第22飛行隊が運用しています。

空軍

第二次世界大戦中はイギリス空軍の一部として創設されました。攻撃ヘリコプターを空軍で運用している点が特徴的です。AH-2 ローイファルク攻撃ヘリコプターやサーブ・グリペン戦闘機、ホーク Mk.120練習機などを運用しています。しかし、近年は経済的な問題から、稼働率が低下しています。

南アフリカ総合医療部隊

SANDFは、医療部隊も有しています。平時には、軍人の医療を担当し、有事の際には、医療支援を行います。

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