南越前町ケーブルテレビ

南越前町ケーブルテレビ

南越前町ケーブルテレビ（みなみえちぜんちょうケーブルテレビ）は、福井県南条郡南越前町がかつて運営していた公設公営のケーブルテレビ事業です。福井県の嶺北地方に位置しながら、近畿地方に近いという地理的特性から、他の嶺北地域にあるケーブルテレビ局とは異なる特徴を持っていました。現在、この事業は福井ケーブルテレビへと引き継がれています。

事業の概要とかつての特色

この事業は、福井県嶺北地域において非常に特徴的な存在でした。多くの嶺北のケーブルテレビ局が北陸朝日放送や北陸放送といった地元局を再送信する中で、南越前町ケーブルテレビは唯一、関西圏のテレビ局である朝日放送テレビ、毎日放送、そしてびわ湖放送の再送信を行っていました。これは、南越前町が近畿地方と地理的に比較的近い位置にあることに起因するものでした。もともとは、南条郡を構成していた旧3町村（南条町、今庄町、河野村）の合併によって誕生した、自治体自身が運営する公設公営の施設でした。

歴史

南越前町ケーブルテレビ事業の基盤は、町の合併以前に各旧町村で個別に進められていた情報化施設整備に遡ります。

1999年4月：旧南条町において、農村情報化施設としてコミュニティネットワーク南条（CNN）が開局しました。
2002年4月：旧今庄町でも同様に、農村情報化施設であるインフォメーションネットワーク今庄（INI）が開局しました。
2004年7月：旧河野村においても、総務省北陸総合通信局から有線テレビジョン放送施設の設置許可が下り、同年内に施設整備が進められました。
2005年1月1日：上記の南条、今庄、河野の3町村が合併し、南越前町が誕生したのに伴い、それぞれの情報化施設が統合され、「南越前町ケーブルテレビ」として放送が開始されました。
2006年6月：ケーブルテレビ回線を利用したインターネット接続サービスが開始されました。
2009年12月：地上デジタル放送の提供が始まりました。
* 2017年4月1日：施設の老朽化への対応や運営体制の見直しを図るため、事業が民営化され、福井ケーブルテレビ株式会社へ移管されました。これにより、事業名は「福井ケーブルテレビ南えちぜん支局」へと変わりました。

提供サービス（民営化前）

民営化される前、南越前町ケーブルテレビはテレビ放送、ラジオ放送、そしてインターネット接続サービスを提供していました。

テレビ放送とラジオ放送では、前述の通り関西圏の放送局を含むチャンネルを提供していましたが、具体的なチャンネルラインナップは時期により変動がありました。

インターネット事業については、南越前町が直営で行っており、上位のISP（インターネットサービスプロバイダ）としてはNTT西日本-北陸のISP事業者向けサービスを二次的に利用する形態をとっていました。接続速度は下り最大3Mbpsで、通信速度を保証しないベストエフォート型のサービスとして提供されていました。

民営化後の状況

2017年4月1日、南越前町ケーブルテレビ事業は福井ケーブルテレビへ引き継がれました。この事業移管は、老朽化が進んだ施設の維持管理にかかる自治体の負担を軽減することを主な目的として、福井ケーブルテレビの協力のもと実現しました。現在、南越前町自体はケーブルテレビ事業を直接運営しておらず、福井ケーブルテレビとの協定に基づき、町独自の自主放送チャンネルに関するサービスのみを提供しています。

サービスエリア

南越前町ケーブルテレビがサービスを提供していたエリア、および現在福井ケーブルテレビを通じてケーブルテレビサービスが提供されている南越前町内の主なエリアは、福井県南条郡南越前町の全域です。

この事業の歴史は、地域の情報インフラ整備における自治体の役割と、その後の事業継続における課題、そして民間の事業者への移行という流れを示しています。

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