単板積層材

単板積層材（LVL）について

名称と定義

単板積層材（たんばんせきそうざい）は、木材を加工して作られる建材の一種です。この名称は日本農林規格（JAS）で定められていますが、一般的には「LVL（エルブイエル）」という略称で広く知られています。LVLとは、英語の「Laminated Veneer Lumber」の頭文字を取ったもので、「薄い板を重ねて作られた木材」という意味合いを持っています。

LVLの最大の特徴は、厚さがわずか数ミリメートルという薄い木材の板（これを単板、または突板／Veneerと呼びます）を何層にも重ね合わせ、それぞれの層の木材の繊維の向きをほぼ一方向に揃えて強力な接着剤で貼り合わせている点にあります。このようにして作られたLVLは、主に柱や梁のように長さ方向の強度を必要とする「軸材料」として使用されます。

用途と他の木質材料との比較

LVLは、住宅や建築物の構造を支える構造材や、家具などの内装に使われる造作材として利用されます。この用途は、同じく木材を接着して作られる「集成材」とよく似ています。

しかし、集成材とLVLでは、積層する木材の厚みに大きな違いがあります。集成材は、1センチメートル以上の比較的厚い木材の板（ラミナ）を重ねるのに対し、LVLは前述の通り、数ミリ以下の極めて薄い単板を使用します。この薄い板を重ねる製法が、後述するLVL独自の特性を生み出しています。

製造プロセス

LVLの製造方法は、合板の製造方法と非常に似ています。まず、丸太を回転させながら刃物で薄く剥ぐようにスライスし、単板を作ります。この工程は、大きなカツラを剥ぐ様子に例えられることもあります。得られた単板は乾燥させた後、製品の寸法に合わせて裁断されます。その後、接着剤を塗布した単板を、設計された層数だけ積み重ねて圧力をかけ、一体化させます。合板の製造ラインと共通の設備が使われることが多いのは、この基本的な製造工程が似ているためです。

合板との構造的な違い

LVLと合板は製法が似ているため、かつてはLVLが「平行合板」と呼ばれることもありました。しかし、両者は決定的な構造的な違いを持っています。それは、各層の単板の繊維をどのように配置するか、という点です。

合板は、名前が示す通り「板」としての使用を前提としています。そのため、板の表面全体の強度や安定性を高めるために、各層の単板の繊維の向きを直交（90度）させて貼り合わせるのが一般的です。これにより、板の縦方向と横方向の性質の差が小さくなり、平面的な均質性が得られます。

一方、LVLは主に柱や梁といった細長い材としての利用を想定しています。そのため、長さ方向、つまり木材の繊維方向に沿った強度を最大限に引き出すことを目的としています。原則として、全ての層、あるいはほとんどの層で単板の繊維方向を揃えて積層します。ただし、製品によっては、幅方向の変形を抑制するために、一部の層で繊維方向を直交させることもあります。製品の形状としては、棒状のものが主流ですが、板状の製品も存在します。

原材料と特性

LVLの製造には、スギやヒノキのような針葉樹、あるいはブナやカバのような広葉樹など、様々な種類の木材が利用可能です。間伐材などの有効活用にも適しています。

LVLが持つ利点や欠点は、多くの点で集成材と共通しています。特定の強度基準を満たすように製造できるため品質のばらつきが少なく、大きな断面や長い材を安定して供給できる点などが挙げられますが、詳しい特性については集成材に関する情報も参照すると理解が深まるでしょう。

このように、LVLは薄い単板を繊維方向に揃えて積層するという特徴的な製法により、長さ方向の高い強度と安定性を実現した木質材料であり、現代建築において重要な役割を果たしています。

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