単縦陣

単縦陣（たんじゅうじん）

単縦陣とは、艦隊の各艦艇が縦に一列に整列した陣形のことを指します。この陣形の特徴として、2番目以降の艦艇が前の艦艇を追随するだけで任務を遂行できるため、無線通信が未発達だった時代でも艦隊の運動を容易にすることが可能でした。単縦陣は、特に砲撃戦において効果的である一方で、衝角による接近戦にはあまり向いていないという性質も持っています。

フリゲートや戦列艦を使用した帆船時代のヨーロッパにおいて、海軍の最高指揮官は、先頭の艦艇に乗艦します。この先頭艦は「旗艦」と呼ばれ、その次に続く艦艇にはそれぞれの指揮官が搭乗します。例えば、次の艦艇にはその次に位が高い者が乗り、最後尾には最も地位の低い者が搭乗するという仕組みです。このようになっている理由は、万が一旗艦が沈むなどの事態が発生した場合に、2番目の艦艇が指揮を取ることができるためです。さらに全艦が同時に方向転換する際には、最後尾の艦が指揮を執ることもあります。

「Admiral（海軍大将）」、「vice admiral（海軍中将）」、「rear admiral（海軍少将）」といった呼称は、この単縦陣の配列から派生したものとされています。このように、艦隊は三つの戦隊から成り立ち、各戦隊はさらに三つの隊に分かれています。前衛隊の指揮官は中将、戦隊指揮官および中央隊指揮官は大将、後衛隊指揮官は少将がそれぞれ任命されていました。

特に中央戦隊の指揮官が艦隊全体の司令となるため、この役職は「admiral of the fleet」として知られています。この役職名は、現代の海軍元帥の由来ともなっています。艦隊は通常前衛戦隊、中央戦隊、後衛戦隊に分かれ、それぞれの指揮官が大将となる中、中央戦隊の指揮官が全体の指揮を執るシステムが整っていました。

このように、単縦陣は指揮体系と戦術の双方において重要な役割を果たしてきました。艦隊が円滑に戦闘を行うためには、陣形の選択が非常に重要であり、その中でも単縦陣は特に多くの歴史的な戦闘で用いられた形態です。これにより、艦隊の整然とした動きと指揮官の役割が明確になり、戦局を有利に進める要因ともなったのです。

関連項目

• - 海軍
• - 軍隊における階級呼称一覧
• - 将官
• - 坪井航三
• - 輪形陣
• - 戦列艦

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