博士（法学）

博士（法学）についての詳細

博士（法学）、正式にはS.J.D.（Scientiae Juris Doctor）とは、日本における法学の専門分野での最高学位です。この学位は、法法律研究における高度な理解と能力を有する研究者に授与されます。1991年以前、日本では「法学博士」という名称が使用されており、現在の「博士（法学）」にほぼ相当していました。

法学博士の歴史

法学博士は、1887年に制定された学位令によって文部大臣から授与される5つの博士の中の一つとして位置づけられました。この際、初めて学位が制度化され、法学分野における専門的な研究が評価される道が開かれました。この学位を取得するためには、研究業績をもとにした学位請求論文を提出し、厳正な審査を通過する必要があります。

また、法学博士と似た名称を持つ法務博士（専門職）は、法科大学院の修了者に授与される学位であり、こちらは履修した内容に基づくもので、研究による学位とは異なるものです。それゆえ、法学博士と法務博士は名称は似ているものの、評価される基準や内容は明確に異なります。

英語圏における法学博士

英語圏では、法学博士に相当する学位として、Ph.D.（Doctor of Philosophy）、LL.D.（Doctor of Laws）、S.J.D.があります。これらの学位は、各国の学位制度に依存しますが、法学研究を深め、専門性を認められる重要な資格とされています。

日本において法学博士号が初めて授与されたのは1888年5月7日で、受賞者は箕作麟祥、田尻稲次郎、菊池武夫、穂積陳重、鳩山和夫の5人でした。さらに、帝国大学や官立大学以外の出身者として最初に法学博士号を授与されたのが、花井卓蔵である1909年のことです。

社会科学と法学博士

1920年の学位令改正まで、法学博士は社会科学全般における唯一の博士学位でした。そのため、法学博士に求められる業績は、法学以外の分野にも及びました。例えば、法学博士号を最初に取得した田尻稲次郎は財政学を専門としており、このように多様な学問領域が法学博士と関連していたことがわかります。

他にも、著名な経済学者である福田徳三（1905年授与）や河上肇（1913年授与）などが法学博士号を取得しており、法と経済の交差する分野での研究が評価されました。

まとめ

博士（法学）は、日本の法学分野における高度な学位であり、法学の研究成果を反映したものです。歴史的背景や社会科学とのつながりを持ちながら、法学の学位制度の中で重要な位置を占めています。法学博士は、学問的な探究心を抱く研究者にとって、非常に目指すべき学位であると言えるでしょう。

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