博多1号墳

博多1号墳について

博多1号墳（はかた1ごうふん）は、福岡県福岡市の博多区、特に御供所町に位置する歴史的な前方後円墳です。この古墳は古墳時代中期の初めに築造され、福岡地域の貴重な文化遺産として知られています。

発掘調査の経緯

博多1号墳の発見は1985年に遡ります。この年、西日本鉄道株式会社がビルを建設する際に、発掘調査が行われました。調査区域は博多区御供所町の約1745平方メートルで、1985年5月22日から8月31日にかけて実施されました。この調査により、古墳の存在が初めて明らかになりました。発掘は、古墳の外観や配置がほとんど削平されていたにもかかわらず、いくつかの貴重な遺物が見つかりました。

さらに、翌年の1986年にも近隣の地域で調査が行われ、結果として周囲の土地には小石室墓群と葺石が確認されました。しかし、その後の建設活動によって、古墳はすっかり消失してしまうこととなります。現在、博多1号墳の跡地には西鉄祇園ビルと博多セントラルビルが建っており、古墳が存在したことを示すものは何も残っていません。

古墳の規模と構造

博多1号墳の推測される全長は約60から70メートル、後円部の直径は約40メートルです。この規模は、福岡平野内にある那珂八幡古墳や老司古墳と同等で、地域の古墳としても重要なものです。発掘調査においては、古墳の外周部分には墳丘が存在し、両側に葺石が並んでいることが確認されました。この葺石には、前方後円墳となる特徴が見られ、古墳の装飾要素があった可能性についても言及されています。

また、周溝に埋没された状態で、後円部周辺には7基の小石室墓群が発見されました。一部の石室は赤色の顔料で装飾されており、これらの調査結果からも、この古墳は装飾古墳である可能性が考えられています。

出土した遺物

発掘された遺物には、円筒埴輪が大部分を占めており、形象埴輪の破片もあるものの数は少なく、詳細な復元は難しい状況です。いずれも赤色顔料で装飾されていることから、技術的な側面や文化的な背景を推察させます。また、周辺からは中世や近世に関連する遺物として、碧玉製の管玉や鉄鏃、金環などが出土しています。

年代

古墳の築造は4世紀末から5世紀初頭、すなわち古墳時代中期にあたるとされ、小石室墓群の造営は6世紀後半から7世紀後半と推測されています。また、まとめて調査された葺石の一部が平安時代の溝で切られていることから、平安時代には墳丘の崩壊が進行していたことも示唆されています。

博多遺跡群内の他の古墳

博多1号墳の周辺でも多くの古墳跡が見つかっています。例えば、博多遺跡群第109次調査区では、前方後円墳と思われる周溝が検出されたほか、円筒埴輪の破片も確認されています。また、第166次調査区および第171次調査区でも、いずれも古墳の特徴を持つ遺物や周溝が発見されています。これらの史跡は、博多地域における古墳時代の文化を知る上で重要な証拠となっています。

博多1号墳は、その歴史的価値から今後もさらなる研究や調査が期待される場所です。

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