博徒一代 血祭り不動

『博徒一代 血祭り不動』

1969年2月22日に公開された『博徒一代 血祭り不動』は、任侠映画の代表作の一つであり、アクションスター市川雷蔵の遺作として知られています。本作は、大映によって配給され、監督は安田公義が担当していました。市川は、当時の任侠映画が東映の影響を受けていることに心情的に負担を感じていたとされ、彼自身がこのジャンルの作品に出演することには、あまり積極的ではなかったようです。

ストーリー概要

物語は桜田丈吉が約6年の服役を終え、弟分の勇一の元を訪れるところから始まります。しかし、勇一は北陸地方で勢力を誇るヤクザ組織、長丸家の跡目を狙う大戸という男の側近として活動していました。このため、桜田は自らの思い描く義理の世界と現実の厳しさに直面します。

長丸家を引き継ごうとする北松の子分たちが、大戸を襲撃しますが、失敗に終わります。この出来事から桜田は、北松の関与を疑い、証言を得るためにその子分を拷問しますが、彼は男の苦しむ姿に心を痛め、結局は彼を殺すことを決意します。このような選択は、桜田の心の葛藤を象徴しており、彼が任侠の世界に生きる限界をも示唆しています。

また、桜田は屍を北松に届けた際、かつて仕方なく命を奪った男の妹と再会します。この偶然の出会いは、桜田の内面的な苦悩をさらに深め、彼の義理と責任との間で揺れ動く様子が観客に強く印象付けられます。

キャスト

本作には、主役の桜田丈吉を演じる市川雷蔵をはじめ、多くの実力派俳優が揃っています。特に、市川の演技は本作においても光っており、彼自身の病状が影響する中での撮影は多くのファンの涙を誘いました。

• - 市川雷蔵：桜田丈吉
• - 近衛十四郎：小洗音次郎
• - 亀井光代：お園
• - 長谷川待子：お初
• - 金内吉男：輪島勇一
• - 石山健二郎：泉谷剛造
• - 田中三津子：お常
• - 水上保広：水上龍平
• - 遠藤辰雄：大戸国五郎
• - 金田龍之介：北松市蔵

制作スタッフ

映画のクオリティを支えるスタッフも豪華です。 監督は安田公義、企画は八尋大和、撮影は今井ひろし、音楽は鏑木創が担当しています。編集が菅沼完二によって行われ、脚本は高田宏治が執筆しました。

余談

本作は併映として『関東おんな極道』と共に公開され、任侠映画ファンにとって特別な位置づけの作品となっています。市川の遺作ということで、その背景には深い思いやりが感じられ、多くの人々に愛され続けています。映画の緊張感あるストーリーと重厚な演技は、観る者の心に強い印象を残します。

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