印旛県

印旛県の概要と沿革

印旛県（いんばけん）は、1871年の第1次府県統合によって設置された県で、現在の千葉県の北西部、茨城県の南西部、埼玉県の東部の一部を管轄していました。県庁は印旛郡佐倉に置かれる予定でしたが、実際には数回の移転の後、流山市の加村に決定されました。印旛県はわずか2年後の1873年に廃止され、千葉県の一部となりました。

印旛県の設立経緯

印旛県は1871年8月29日、明治政府による廃藩置県の施行に伴い、300以上の新たな県が設立された際に創設されました。これにより行政が混乱を招くこととなり、政府は同年12月に府県の統合（第1次府県統合）を実施しました。下総国においては、旧幕府領を管轄する葛飾県や、旧藩領を管轄する6県（佐倉県、古河県、関宿県、結城県、生実県、曾我野県）が統合され、印旛県が誕生しました。

当初の県庁は佐倉が選ばれましたが、適当な庁舎が見つからず、臨時事務所が東京府の薬研堀に設置されました。さらにその後、県庁は本行徳村の徳願寺境内へ移転しましたが、交通の不便さから再度、流山市加村に移されました。このように、県庁の移転は地域の利便性への配慮から行われていたとも言われています。

初代県令と権令

1873年2月7日、初代県令の河瀬秀治が群馬県兼入間県県令に転任し、その後、木更津県の権令・柴原和が印旛県の権令を兼務することとなりました。続いて、1873年6月15日には印旛県は木更津県と合併し、新たに千葉県が設置されることになりました。これにより印旛県は正式に廃止されました。

印旛県の管轄区域

印旛県の管轄区域は、下総国のいくつかの郡にまたがっており、人々の生活と地域社会に大きな影響を与えていました。特に、結城郡、猿島郡、岡田郡、葛飾郡、相馬郡、千葉郡、埴生郡、印旛郡において、それぞれの特性に応じた行政施策が進められました。人口はおおよそ45万6,689人とされ、活気ある地域社会が形成されていました。

歴代の知事

印旛県の知事職は1871年11月から始まり、県令には元宮津藩士の河瀬秀治が任命され、1873年2月までその職にありました。その後、権令として柴原和が任命され、彼も木更津県権令と兼務することとなりました。

終わりに

印旛県はその成立からわずか2年で廃止されましたが、この短い期間に多くの地域に影響を与え、千葉県の一部として今でもその名が語り継がれています。県の歴史は新政府の施策や地域の実情を反映しており、それは今日の千葉県の形成に影響を及ぼしているのです。

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