厚岸漁港

厚岸漁港（あっけしぎょこう）

厚岸漁港は、北海道厚岸郡厚岸町にある漁港で、港則法上の「適用漁港」として指定されています。

概要

北海道の太平洋南東部に位置する厚岸漁港は、厚岸湾、汽水湖である厚岸湖、そして大黒島をはじめとする豊かな地形に囲まれ、森や川、湿原といった自然条件にも恵まれています。これらの要素が組み合わさり、多様な水産資源が育まれる漁港となっています。

特に、厚岸沖の太平洋海域は、暖流の黒潮と寒流の親潮が交わる潮境（潮目）となっており、豊富なプランクトンが発生し、それを餌とする魚が集まる絶好の漁場を形成しています。

施設

湖北地区には、北海道内で最長の延長850mを誇る水揚げ直線岸壁があります。この地区には、「厚岸漁業協同組合地方卸売市場」や「厚岸漁業協同組合直売店エーウロコ」が設けられ、水揚げされたばかりの新鮮な魚介類が取引されています。また、湖南地区（若竹地区）には、「厚岸町カキ種苗センター」があり、カキの養殖を支えています。

主な地区

湖南地区（若竹地区）
第1埠頭
第2埠頭
第3埠頭
湖北地区
湖内地区
門静地区

沿革

厚岸の地名は、アイヌ語の「アッケケシ」（牡蠣の獲れるところ）に由来すると言われています。かつて厚岸湖はカキの自生地でしたが、水質変化や採取により徐々に減少し、現在では養殖が中心となっています。

江戸時代には、ニシン漁やサケ漁が盛んに行われ、獲れた魚は乾燥させて肥料として出荷するなど、東蝦夷地の中心地として繁栄しました。戦後は捕鯨基地となり、北洋サケ・マス漁業やイワシ巻網漁業の大規模船団に対応した漁港整備が進められました。しかし、国際漁業規制やイワシ資源の激減により船団が撤退し、沖合漁業は厳しい時代を迎えます。そのような状況下でも、厚岸漁港はサンマなどの良好な漁場が近いことから、サンマ棒受網漁業の陸揚げ基地として、北海道内外から多くの漁船が利用しています。

年表

1951年（昭和26年）：「第3種漁港」に指定。
1959年（昭和34年）：日本道路公団による厚岸フェリーが開通、「厚岸丸」が就航（1972年廃止）。
1972年（昭和47年）：厚岸大橋が開通。
1999年（平成11年）：厚岸町カキ種苗センターが完成。
2000年（平成12年）：シングルシード方式のカキが初出荷。
2006年（平成18年）：「厚岸地域マリンビジョン」が策定。
2009年（平成21年）：第1埠頭の静穏度対策施設が完成。
2012年（平成24年）：門静副港が供用開始。
2014年（平成26年）：「厚岸地域マリンビジョン」が改訂。

主な水産物

厚岸では、周辺海域を活かしてカキの成熟を調整することで、年間を通してカキを出荷しています。厚岸産のカキ「カキえもん」は、国内で最初にシングルシードと呼ばれる技術を用いて育てられています。2016年（平成28年）からは、ホタテの貝殻を利用して人工種苗した「弁天かき」の販売も開始しています。

また、「大黒さんま」は、目利きの漁業者が船上で特大のサンマのみを厳選した、こだわりのサンマです。

厚岸漁港で採れる主な魚介類

サケ
エゾバフンウニ
サンマ
ホッキ（ウバガイ）
アサリ
ホタテガイ
カキ
ナガコンブ（コンブ）

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