厚生局 (琉球政府)

厚生局について

厚生局は、琉球政府の行政事務を担う重要な組織の一つでした。その主な役割は、医療、保健、社会保障といった、住民の生活に密接に関わる分野を統括することでした。1961年8月1日の機構改革によって、それまで社会局と呼ばれていた組織が改称され、厚生局として新たなスタートを切りました。

所掌事務

厚生局は、多岐にわたる事務を所掌していました。以下は1972年5月14日時点での主な業務内容です。

保健衛生に関すること: 住民の健康を守るための施策や、感染症対策などを担当しました。
医療に関すること: 医療機関の運営や、医療提供体制の整備など、医療に関する幅広い業務を行いました。
薬事に関すること: 医薬品の承認や管理、薬事に関する指導などを行いました。
社会福祉に関すること: 高齢者や障害者、児童など、社会的に支援が必要な人々への福祉サービスを提供しました。
住民生活の保護指導に関すること: 生活困窮者への支援や、生活保護に関する業務を担当しました。
援護及び復員に関すること: 戦争による被害者や、復員軍人への援護を行いました。
社会保険に関すること: 社会保険制度の運営や、保険給付に関する業務を行いました。
その他厚生に関すること: 上記以外にも、住民の健康と福祉に関わる様々な業務を担当しました。

組織

厚生局は、以下の組織で構成されていました（1972年5月14日時点）。

内部部局

局長直属: 局全体の運営を統括しました。
総務課: 局内の人事や会計、文書管理などを担当しました。
公衆衛生部: 感染症対策や、環境衛生に関する業務を行いました。
衛生課: 環境衛生に関する具体的な業務を担当しました。
予防課: 感染症の予防に関する業務を担当しました。
医務部: 医療に関する業務を統括しました。
医事診療課: 医療機関の運営や、医療に関する指導を行いました。
病院管理課: 病院の運営に関する業務を担当しました。
薬務課: 医薬品の承認や管理、薬事に関する指導を行いました。
民生部: 社会福祉に関する業務を統括しました。
民生課: 生活保護に関する業務を担当しました。
児童福祉課: 児童福祉に関する業務を担当しました。
援護課: 援護に関する業務を担当しました。

外局

社会保険審査委員会: 社会保険に関する不服申し立てを審査する機関です。
社会保険庁: 社会保険制度の運営に関する業務を行いました。

支分部局

保健所: 地域住民の健康管理や、感染症対策を行う機関です。
福祉事務所: 地域住民への福祉サービスを提供する機関です。
児童相談所: 児童に関する相談や、児童虐待への対応を行う機関です。
婦人相談所: 女性に関する相談を行う機関です。
石垣医療航空事務所: 僻地離島への医療サービスを提供する機関です。

附属機関

公害・衛生研究所: 公害問題や、衛生に関する調査・研究を行う機関です。
検疫所: 感染症の侵入を防ぐための検疫を行う機関です。
病院: 医療を提供する施設です。
療養所: 長期療養が必要な患者のための施設です。
看護学校: 看護師を養成する学校です。
医学図書館: 医学に関する図書や資料を収集・提供する施設です。
実務学園: 実務に関する教育を行う学校です。
児童園: 児童を養護する施設です。
身体障害者更生指導所: 身体障害者の更生を支援する施設です。
身体障害者更生相談所: 身体障害者に関する相談を行う施設です。
厚生園: 高齢者や障害者のための福祉施設です。
離島巡回診療業務: 離島地域への巡回診療を行う業務です。

離島医療への貢献

1970年には、宮古諸島や八重山諸島といった僻地離島における医療体制の強化が計画され、1972年3月には厚生局に石垣医療航空事務所が設置されました。これにより、ヘリコプターを用いた急患輸送や巡回診療が開始されました。使用されたヘリコプターは川崎重工業製のヒューズ369HS型で、吊り下げ救助装置や非常用フロートが装備されていました。この事業は、海上保安庁の支援を受けており、ヘリコプターの運航要員も同庁から派遣されていました。本土復帰後、石垣医療航空事務所は第十一管区海上保安本部石垣航空基地となり、ヘリコプターは海上保安庁に引き継がれ、1993年6月まで運用されました。

参考文献

照屋栄一『沖縄行政機構変遷史 明治12年～昭和59年』照屋栄一、1984年8月15日。

関連項目

琉球政府
行政主席

外部リンク

沖縄県公文書館

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