原ひさ子

原ひさ子について

原ひさ子（はら ひさこ、1909年 - 2005年）は、日本の著名な女優であり、その芸術的なキャリアは数十年にわたります。彼女は静岡県静岡市で生まれ、本名は石島 久（いしじま ひさ）という名で知られています。芸名は「原緋沙子」から「原ひさ子」へと変更され、幅広い演技力で数々の作品に出演しました。

幼少期と教育

原は1909年8月6日に四人兄妹の末っ子として誕生しました。彼女の父は銀行員でしたが、彼女が6歳の時に亡くなりました。後に上京し、不二高等女学校を卒業後、伯父の養子として東京に住むようになりました。この頃、家業を手伝いながら長唄や生け花を習い、花嫁修業に励んでいました。

女優デビュー

1933年、原は前進座の女優募集を知り応募します。当初は裏方として働くことを望んでいましたが、女優試験を経験し、合格通知を受け取ります。この際、合格の理由は「何もできないところが素直でよかった」とされ、家族の中でも伯父や姉の支援を受けましたが、兄は反対し、3年間の絶縁関係にあることになりました。

彼女は新橋演舞場でデビューし、以後名脇役としての道を歩み始めました。原が名乗った「原緋沙子」という名前は、その後も多くの作品で見られることになります。特に現代劇『石川啄木』での啄木の妻役が好評を博し、名が広がるきっかけとなりました。

映画と舞台での活動

原は自身の舞台活動を通じて多くの映画に出演しました。彼女の映画デビュー作は1935年の『街の入墨者』で、以降も東宝に所属し、数多くの作品に登場しました。1944年には夫の石島房太郎とともに東宝に専属となるも、戦後は役者の仕事が無くなり、一時は喫茶店を経営していました。そんな中で、山田五十鈴一座の旅公演に参加することで俳優活動を再開。

彼女は1950年にはフリーランスとして活動を始め、1955年以降の日活映画に重点を置いてキャリアを積みました。「お婆ちゃん役の名脇役」として知られ、彼女の小柄で可愛らしい姿は多くの観客に愛されました。1989年には芸団協から芸能功労者賞を受賞し、1999年にはアメリカの『ニューヨーク・タイムズ』によって「日本の最高齢女優」として紹介されました。

引退後の活動と晩年

70歳を過ぎてからはテレビのバラエティ番組にも出演。特に『ライオンのいただきます』などの番組で準レギュラーとしての地位を確立し、多くの視聴者に親しまれました。

さらに、彼女は俳句を始め、2000年には初の著書『ばばさまの俳句は日記つれづれに』を出版しています。その活動は生涯を通して多岐にわたり、文化的な影響を与えました。彼女は広島市への原子爆弾投下の日に誕生日を迎えたため、終戦後からはこの日を祝わず、毎年すいとんを食べることに決めました。

最期と遺作

2005年12月4日、原は家族との夕食を終えた後、東京都内の病院に搬送される途中で心不全により96歳で人生を閉じました。彼女の遺作となった映画『サヨナラCOLOR』では、彼女の演技力がしっかりと発揮されたまま、次世代への影響を与え続けています。

原ひさ子の生涯は、数多くの日本映画や舞台において際立った存在感を放ち、多くの人に感動を与えた女優の物語です。

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