原安三郎

原 安三郎の生涯と業績

原安三郎（はら やすさぶろう）は1884年に徳島県徳島市で生まれ、1982年に逝去するまでの長い間、日本の実業界でその名を馳せました。彼は日本化薬の会長を務めるなど、数々の重要なポジションで日本経済の発展に寄与しました。

幼少期と教育

原は早くから教育に恵まれ、徳島中学を経て1909年に早稲田大学商科を首席で卒業しました。しかし、彼の人生は順風満帆ではありませんでした。幼少期に関節炎を患い、身体に障害を抱えながらも、彼は困難を乗り越えて多くの学びを得てきました。この障害のために一度は中退処分となるも、文部大臣に直訴することで再入学を果たしました。

実業界でのキャリア

1912年に日本化薬の前身である日本火薬製造会社に入社し、後に社長に就任します。この会社は、第二次世界大戦中に軍需品を製造しなかったため、戦後の公職追放を免れ、原は経営の復興に励むこととなります。そのため彼は「会社更生の名医」と称賛されることになるのです。

1965年には早稲田大学から名誉博士号を授与され、1970年には勲一等瑞宝章を受章しました。また、1980年には徳島市の名誉市民にも選ばれました。彼の墓所は港区光林寺にあります。

財政改革への貢献

原安三郎は財界でも重要な役割を果たしました。1956年には、売上税の導入を提唱し、その必要性を訴えました。この時の議論では、日本の税制の課題や消費税の導入について慎重な考察を示しました。特に彼は、勤労者の可処分所得が低下する可能性に敏感であり、消費税の導入を見送ることにしました。

社会貢献と影響

1963年に始まった「小さな親切運動」の提唱者の一人として、国民運動の足掛かりを作ったことも特筆すべき業績です。

近年では、彼が収集してきた浮世絵コレクションが発見され、関心を集めています。これらの作品には、歌川広重や葛飾北斎の名作が含まれ、多くの芸術愛好家にとって貴重な財産となっています。

メディアへの貢献

原はまた、ラジオ局設立のための仲介にも関わりました。1950年に電波監理委員会が民間放送の解禁を決定した際、彼は一次に限られた条件の中で新会社設立に成功し、現在のTBSラジオの基盤を築くことに寄与しました。

著作と資料

著書には『山本条太郎』や共著の『反古籠』があり、彼の考えや業績が記されています。また、彼が編集した記録作品もいくつか存在し、当時の社会や経済状況を知る手がかりとなっています。原安三郎の影響力は、日本経済の発展において今もなお感じられるものです。

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