電波監理委員会

電波監理委員会とは

電波監理委員会は、かつて日本の行政機関として存在し、通信と放送の監督を担っていました。この委員会は、総理府の外局であり、行政委員会の一つとして位置づけられていました。

設立の背景

1950年6月1日、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の示唆を受け、電波監理委員会設置法に基づき設立されました。これは、電気通信の国家管理を解き、監督行政を振興行政から分離するための措置でした。この委員会は、独立した第三者機関として、電波の割り当てや放送局に関する事項、日本放送協会の運営など、広範囲な監督権限を持っていました。

委員会の構成と役割

委員会は、国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員長1名と委員6名で構成され、任期は6年でした。事務局は電波監理総局とされ、電気通信省外局であった電波庁が改組されました。電波監理委員会は、アメリカ合衆国連邦通信委員会（FCC）に相当する組織を目指していました。特に、GHQの意向が強く反映されていたとされています。

廃止とその後

1952年4月、日本が主権を回復すると、同年7月31日に郵政省設置法の一部改正に伴い、電波監理委員会は廃止されました。その機能は郵政省に吸収され、国務大臣の諮問機関として電波監理審議会が設置され、通信・放送行政は再び国務大臣の管理下に戻りました。

電波監理委員会が交付した免許

特筆すべき点として、電波監理審議会ではなく、電波監理委員会によって予備免許が交付された放送局が存在します。ラジオ局は多数ありますが、テレビ局は日本テレビのみが、最後の委員会で免許を交付されました。ラジオ東京（現TBS）とNHKについては、この時免許が保留されています。

歴代委員長

歴代の委員長は以下の通りです。

富安謙次：昭和25年6月1日 - 昭和27年2月6日
網島毅：昭和27年2月6日 - 昭和27年7月31日

行政委員会再設置の動き

電波監理委員会廃止後も、通信・放送行政に関する行政委員会の設置構想は度々浮上しています。

1962年、郵政大臣の諮問機関である臨時放送関係法制調査会は、放送行政に行政委員会を置く答申をしましたが、当時の放送法改正には盛り込まれませんでした。
1996年、行政改革会議では、中央省庁再編の中で通信・放送行政を行政委員会に委ねるべきか検討されました。1997年の中間報告では、総務省の外局として「通信・放送委員会」を設置する案が示されましたが、郵政省の反対により実現しませんでした。最終的には、総務省の内部部局として再編されることになりました。
* 2009年、民主党が与党となった際、総務省から通信・放送行政を分離し、内閣府外局として通信・放送委員会を設置する方針が決定されました。過去に野党時代にも同様の法案が提出されましたが、いずれも否決・廃案となり、法案提出にも至らず、政権交代により立ち消えとなりました。その後も、他党と共同で設置法案が提出されましたが、全て否決・廃案となっています。

このように、電波監理委員会は短期間で廃止されたものの、その後の日本の通信・放送行政に大きな影響を与えた機関であり、その再設置の議論は現在に至るまで継続されています。

もう一度検索