原宿団地

原宿団地の歴史とザ・神宮前レジデンス

原宿団地は、東京都渋谷区に存在していた住宅団地で、1960年代には多くの家庭が住んでいました。この団地は、日本住宅公団によって1957年に開発され、全112戸が数棟の中層住宅によって構成されていました。建物は、4階建てと5階建ての合計6棟からなり、それぞれの間取りは2DKで、広さは35から37m²となっていました。原宿団地は、神宮球場まで徒歩約5分、東京メトロ銀座線の外苑前駅まで徒歩約10分という便利な立地にあり、都心に近い一等地として知られていました。

この団地の住棟配置設計は、津端修一によって行われ、彼はアントニン・レーモンドの教えを受け、豊かな緑と光がすべての部屋に届くような住宅を目指しました。しかし、経年劣化と共に団地は老朽化が進み、1980年代から建替えの検討が始まりました。

建替えへの道のり

1982年、原宿住宅の管理組合は東京支社に建替えを依頼し、複数の話し合いを経て計画が策定されました。総工費は約30億円とされ、最初の案では10階建てのビルと中層住宅が新設される計画でした。しかし、当初の立替計画には住民の賛同が集まらず、一部の所有者が「民間に任せた方が有利」と反対し、計画は頓挫しました。

2005年には再度、建替え計画が進められ、現代的なマンションに生まれ変わることが確認されました。最終的には、従来の6棟の建物を地上19階建てのマンションに置き換え、住戸数は220戸にまで増加する計画が立てられました。2011年に工事が開始されたものの、周辺住民からの反対があったため、訴訟も巻き起こりましたが、2012年には計画が進むことが決定されました。

ザ・神宮前レジデンスの特徴

再開発された施設は「ザ・神宮前レジデンス」と名付けられ、総戸数220戸のうち148戸が新日鉄都市開発、三井物産、NTT都市開発による共同開発により整備されました。居住空間の質の向上が図られ、高断熱性能を持つLow-Eガラスの採用や、省エネルギーに配慮した給湯器の導入がなされています。また、地下には駐車場や駐輪場が設けられ、地震対策として耐火構造が採用されています。

建物周囲には広場空間が設けられ、高低約3mから8mの高木が150本植樹されています。この緑豊かなスペースは、地域の防災拠点としても機能し、井戸やマンホールトイレが設けられることで災害時に備えています。

交通の便と周辺施設

ザ・神宮前レジデンスは、外苑前駅、国立競技場駅、千駄ケ谷駅といった交通利便性に恵まれており、周囲には文化的な施設も多く点在します。近隣にはワタリウム美術館や明治公園、国立霞ヶ丘競技場などの名所があり、生活環境も充実しています。

原宿団地が再開発され、新たな住宅地が誕生した背景には、地域の価値向上を目指す様々な取り組みがあったことがわかります。

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