原市沼

原市沼：古代蓮がよみがえった、新幹線が走る湿地

埼玉県上尾市と北足立郡伊奈町にまたがる原市沼は、豊かな自然に恵まれた湖沼です。東北新幹線と上越新幹線が北端を走り抜けるという、珍しい立地も特徴の一つと言えるでしょう。

かつては伊奈氏屋敷跡の近くに位置し、広大な湿地を形成していました。多様な野鳥や湿生植物が生息し、特に蓮の花が一面に咲き誇る光景は、人々の心を癒す絶景として知られていました。

しかし、戦後の食糧難をきっかけに、蓮は沼から姿を消してしまいます。貴重な自然を失った地域住民は、その美しい景色を取り戻すべく、長年にわたる努力を続けてきました。

そして近年、行田市から古代蓮の種子の提供を受け、「原市沼を愛する会」を中心とした地域住民の尽力によって、蓮の再生に成功。見事によみがえった古代蓮は、7月中旬から8月中旬にかけて、早朝にその美しい姿を見せてくれます。濃いピンク色の花びらが太陽の光を浴びて輝く様は、訪れる人々の心を掴んで離しません。

現在では、蓮の群生地としてだけでなく、野鳥観察や自然散策を楽しむスポットとしても人気を集めています。周辺には遊歩道も整備され、気軽に自然に触れ合うことができる環境が整えられています。

また、原市沼では治水対策として、上ノ池、中ノ池、下ノ池の3つの調節池を整備する事業が進められています。中ノ池、下ノ池は既に完成しており、地域の防災力向上に貢献しています。

アクセスも良好で、埼玉新都市交通伊奈線の沼南駅から徒歩5分と、非常に便利な立地です。

原市沼は、自然と歴史、そして人々の努力が織りなす、魅力あふれる場所です。古代蓮の復活劇は、地域住民の強い思いと粘り強さを象徴する、感動的な物語と言えるでしょう。新幹線が走る近代的な風景と、蓮の咲く静かな水面のコントラストも、原市沼の大きな魅力となっています。

ぜひ、早朝に訪れて、古代蓮の美しい花々を鑑賞し、豊かな自然に癒されてみてください。そして、この貴重な自然を守るため、私たち一人ひとりができることを考える機会にしていただければ幸いです。

アクセス

埼玉新都市交通伊奈線 沼南駅下車 徒歩5分

関連情報

原市沼を愛する会 公式ブログ
よみがえる「古代蓮」を原市沼に見る - フォートラベル
原市沼古代蓮 - イナマチドットコム

もう一度検索