原敬暗殺事件

原敬暗殺事件

原敬暗殺事件は、1921年11月4日に日本の内閣総理大臣であった原敬が刺殺された事件です。本事件は、当時の政治状況や暗殺者の背景が絡んでおり、複雑な事情が存在しています。

事件の経緯

暗殺者となった中岡艮一は、当時若い転轍手であり、原首相に対して強い批判を抱いていました。彼は政商や財閥に偏った政治、野党が提出した普通選挙法への反対、さらに尼港事件などが原の政治姿勢に影響を与えていると感じていました。また、上司である橋本栄五郎から受けた影響とも言われています。これらの要因が中岡に首相暗殺の決意をさせることになりました。

事件当日、原首相は京都での立憲政友会の大会への出席のため、東京駅に到着。午後7時25分頃、改札口へ向かう途中に中岡が短刀を用いて原の右胸を刺し、原は即座に倒れました。周囲の人々が応急処置を施すも、原は重傷を負い、その後亡くなりました。彼の妻は遅れて現場に駆けつけましたが、時既に遅しで、原は即死状態だったと言われています。

中岡はその場で逮捕され、裁判が開始されました。異例の速さで進められた裁判では無期懲役の判決が下され、その後の控訴でも判決は覆らなかったのですが、様々な説が提起されることになりました。中岡はその後、減刑を経て1934年に釈放され、戦時中は軍司令部付の兵として過ごしました。彼は1980年に生涯を閉じています。

葬儀と告別式

原の死後、首相官邸において臨時閣議が開かれ、葬儀の方針が協議されました。当初は大規模な党葬が計画されていましたが、原の遺言から簡素な葬儀が選択され、家族の意向に沿ったものとなりました。霊柩は11月7日に自宅を出発し、遺族や閣僚が参列する中で告別式が行われました。告別式は午後8時まで続き、翌日には盛岡に移送されて安置されました。最終的な埋葬は、原の遺言に従い簡素な形で行われ、多くの弔辞が寄せられました。

暗殺の背景

原を暗殺に至らしめた理由は明確ではありませんが、いくつかの説が存在します。まず、右翼勢力との関係や、当時の軍縮に対する反発が挙げられます。さらに中岡の上司が発した「腹を切る」という言葉が中岡に誤解され殺意を掻き立てたとも言われています。このような背景から、原の暗殺は単なる個人の感情から来るものではなく、当時の政治情勢と深く関係していることがうかがえます。

事件の現場は現在、東京駅丸の内南口にてプレートと目印が設置されており、歴史的な出来事として語り継がれています。

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