尼港事件

概要

尼港事件（にこうじけん）、またはニコラエフスク事件は、1920年にロシア内戦中、アムール川河口の日本人統治下にあったニコラエフスク（現在のニコラエフスク・ナ・アムーレ）で起きた、日本人住民に対する大規模な虐殺事件です。この事件は、赤軍パルチザンによって引き起こされ、国際的な非難を浴びることとなりました。

事件の首謀者は赤軍司令官のヤーコフ・イヴァノーヴィチ・トリピャーツィンです。彼は、交通が遮断された孤立したニコラエフスクを占拠したパルチザン部隊を率いて、日本人居留民や日本領事館の職員に対し、無惨な行為を行いました。

事件の結果、ニコラエフスクの人口の半数を超える約6,000人が命を落とし、その中には731名の日本人犠牲者が含まれています。建物は破壊され、町は廃墟と化しました。この事件は日本の反発を招き、シベリア出兵の延長戦を呼び起こす要因となりました。

事件の背景

シベリア出兵の混迷

日本のシベリア出兵は1918年に始まり、当初はアメリカの提案に基づくものでした。しかし、その目的は次第に変化し、反ボリシェヴィキ勢力との戦いに巻き込まれていくことになります。1919年末には、反革命派が崩壊し、日本の兵の撤退が求められる中、混乱が深まっていきました。

尼港の日本人居留民と白軍

1850年に設立されたニコラエフスクは、ロシア極東における重要な港であり、多くの日本人在住者がいました。ロシア内戦の混乱の中で、治安が悪化し、多くの住民が白軍側に立とうという気持ちを強めました。この混乱の中、日本人商人たちはなんとか生き残ろうとしましたが、状況は厳しくなっていました。

事件の推移

パルチザンの進攻

1919年11月から1920年にかけて、赤軍パルチザンによる襲撃が始まりました。白軍の支援が得られない中、日本軍守備隊の体制は弱体化し、市民はますます不安を募らせました。パルチザンは徐々に勢力を強め、最終的にニコラエフスクを包囲しました。

日本軍の決起

2020年3月、トリピャーツィンから日本軍守備隊への武装解除の要求が行われ、これに応じなければならない状況が生じました。また、居留民に対する虐殺の噂が流れ、日本軍は自衛のための決起を決断しました。

大虐殺への道

事件は3月12日、パルチザンによる攻撃が開始され、ニコラエフスクでの大虐殺が本格化しました。日本人居留民や公務員、家族が無惨にも命を奪われ、恐怖が町を覆いました。

事件後の影響

激しい内外の批判を受けて、日本政府は反発し、シベリア出兵をさらに強化しました。この事件の報道は日本国内での政治問題に発展し、政府や陸軍への非難が噴出しました。北樺太の占領も行われ、イベントに関与した文書が記録され、立ち入りが厳しく制限されました。

最終的に、トリピャーツィンは捕らえられ、処刑されるが、この事件がもたらした人命や歴史への影響はいまだに語り継がれています。

記憶と追悼

今日、ニコラエフスクの事件は日本人の心に残る重要な歴史的事実であり、さまざまな形で追悼行事が行われています。手宮公園の納骨堂や慰霊碑は、当時の犠牲者を忘れないための重要な施設として存在し続けています。この事件の教訓も、今後の歴史の積み重ねの中で求められています。

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