原爆の図丸木美術館

公益財団法人原爆の図丸木美術館

公益財団法人原爆の図丸木美術館は、埼玉県東松山市に位置し、原爆の図をテーマにした美術館です。この施設では、丸木位里と丸木俊夫妻による原爆を描いた共同制作の作品や、位里の母、丸木スマの絵画が常設展示されています。その特徴的な作品「原爆の図」は、世界中で巡回展示されるほどの影響力を持っています。

歴史

この美術館は1967年5月に開館しました。当初は平屋の2部屋からなるシンプルな建物でしたが、時間とともに増改築が行われ、現在では鉄骨造りと木造を含む5つの建物から成る2階建てになっています。この場所が選ばれたのは、都幾川の風景が丸木位里の故郷である広島の太田川に似ているためです。美術館は、「原爆の図」だけでなく、核兵器の恐怖について考えさせる多様な作品を通じて、訪れる人々にメッセージを届けています。

美術館は原子力発電にも反対の姿勢を貫いており、1989年には福島第二区原発の事故を受けて、東京電力に電気料金の支払いを拒否する決断を下しました。この行動は、原発問題への強い意識を示すものでした。

展示内容と収蔵品

美術館の主な収蔵品には「原爆の図」をはじめ、「水俣の図」、「南京大虐殺の図」、「アウシュビッツの図」が含まれます。1950年に発表された「幽霊」は、このシリーズの一部として評価されており、その後も次第に展開され、1982年には第15部「ながさき」が完成しました。この作品は長崎原爆資料館に収蔵されており、他の作品群は美術館で常時展示されています。

これらの作品は、特に米軍の占領下で報道規制があった時期に被爆者の姿を初めて広めたものであり、深い歴史的意義を持っています。美術館では、これらの作品を通じて作品の持つメッセージを伝えることが重要な役割となっています。

施設の構造

2023年12月現在、美術館の建物は改築によって変化を遂げていますが、老朽化が問題視されており、2025年秋から約1年半の間、休館して改修工事が行われる予定です。これにより、さらなる新たな展示空間が生まれることが期待されています。

利用案内

美術館の住所は埼玉県東松山市大字下唐子1401で、開館時間は季節によって異なります。入館料は大人900円、中高生600円、小学生400円で、65歳以上や障がい者には割引料金が設定されています。公共交通機関を利用する場合、最寄りのつきのわ駅から徒歩でのアクセスが可能ですが、タクシーの利用は森林公園駅からの方が便利です。

結論

公益財団法人原爆の図丸木美術館は、ただのアートの展示場所ではなく、歴史の教訓を伝える貴重な場であります。訪れる人々に、原爆の恐ろしさやその後の影響を理解し、考えさせる機会を提供しています。この美術館に足を運ぶことで、単に作品を見るだけでなく、忘れてはいけない歴史の一部に触れることができるのです。

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