友人との自画像

友人との自画像

ラファエロ・サンツィオによる『友人との自画像』は、1518年から1520年の間に制作された作品で、現在はフランスのルーヴル美術館に所蔵されています。この絵画は、「二人の肖像」または「二重肖像」とも呼ばれ、画面には2人の男性が描かれています。そのうち、背後に立つ男性がラファエロ自身であると広く認識されています。

作品の概要

作品は灰色の背景を背景に、2人の男性が髭をたくわえ、白いシャツに暗い上着を着て並んで立っています。前景にいる男性は左手に剣の柄を握り、背後の男性に向かって語りかけるように振り返り、空いた手で鑑賞者を指差しています。背後の男性は静かに前の男性を見つめ、肩に手を置いています。この仕草には両者の親密な関係が表現されており、同時に前景の男性の活発さと背後の男性の内面的な静寂が示されています。

モデルについて

背後の男性はラファエロ自身と考えられています。この見解は、彼の青年期の自画像や後の作品との類似性によって裏付けられています。一方、前景の男性についてはさまざまな仮説がありますが、確実な情報は乏しいです。彼はラファエロの友人であり、剣を持つことからフェンシングの師匠ではないかとも言われています。歴史家たちは彼の正体に関してさまざまな意見を持っており、ラファエロの広い人間関係から名前が挙げられています。

特に有力視されているのは、ローマで活動していた作家ピエトロ・アレティーノです。また、ラファエロの弟子であるジュリオ・ロマーノも候補の一人として挙げられています。ラファエロの死後に彼の工房や未完成の作品を受け継いだジュリオは、彼に最も近い存在でした。この2人のポーズが、弟子と師の関係を象徴しているとも解釈されています。

他にも、教皇侍従であったジョバンニ・バティスタ・ブランコニオや、建築家アントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョヴァネの可能性も示唆されています。

帰属の歴史

この絵画は当初、ラファエロではなく彼の弟子が描いたものと考えられていました。しかし、1983年のルーヴル美術館での展覧会を経て、ラファエロの真作として再評価されました。

来歴

本作の初めての確実な記録は17世紀にさかのぼります。学者カッシアーノ・ダル・ポッツォがフォンテーヌブロー宮殿で作品を見たことが証言されています。その後、1683年にはヴェルサイユ宮殿のルイ14世のコレクションに記録され、フランス革命の1792年にはルーヴル美術館に収蔵され、翌年より一般公開されました。

この作品は、ラファエロの深い人間関係を反映した親密な一瞬を捉えた傑作として、現在も多くの人々に愛されています。

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