友鵬勝尊

友鵬勝尊（ゆうほう まさたか）は、1956年12月5日生まれ、2017年9月8日没。沖縄県宮古島市出身の元大相撲力士である。大鵬部屋に所属し、最高位は西幕下筆頭（1987年1月場所）に上り詰めた。得意技は押しで、その力強い取り組みから多くのファンを魅了した。

沖縄県立宮古高等学校では柔道を始め、県新人戦で3位入賞の実績を残す。その後、大鵬のスカウトにより1975年2月、大鵬部屋に入門。高校を中退して上京し、相撲の世界に飛び込んだ。初土俵は「宮古島」の四股名で1975年5月場所。その後、「飛鳥王」、「勇鵬」と四股名を変更し、幕下まで番付を上げた。1987年1月場所では西幕下筆頭にまで昇進。関取への昇進が期待されたが、惜しくもあと一歩届かず、十両昇進は叶わなかった。1991年7月場所を最後に現役を引退した。

勇鵬の四股名は、UFOを連想させるユニークな名前としても知られている。本人は現役時代は「勇ましい相撲を取ってほしい」という願いから、引退後は多くの人と交友を深められるようにとの思いから「友鵬」に改名したと語っていた。

稽古熱心な姿勢は、師匠である大鵬親方からも高く評価されていた。しかし、相撲が正直すぎるあまり、関取への昇進は果たせなかった。弟弟子たちの証言からも、その実直な性格と相撲への取り組み方が垣間見える。弟弟子である大竜は稽古での取り組みやすさを、大若松は力士としての限界について率直に語っている。

大鵬親方からの厚い信頼は、現役引退後も続いた。引退後は大鵬部屋、その後大嶽部屋の世話人として相撲協会に残り、後進の指導に尽力。大鵬親方の急逝（2013年1月）の際には、大鵬親方から最後の電話を受け、その直後に容態が急変したというエピソードも伝えられている。

2013年には、大鵬親方との38年間の思い出をまとめた著書『人間大鵬幸喜のいい話』を出版。著書の中で、大鵬親方の人間味あふれる素顔と、師弟関係の深さを綴っている。

大鵬親方亡き後も、大嶽部屋で新十両となった大砂嵐の指導に力を注ぎ、その指導法はスポーツ紙でも取り上げられるほど注目された。大砂嵐の幕内昇進を支え、力士としての立ち居振る舞い、礼儀作法など、大鵬親方から受け継いだ教えを熱心に伝授した。独自の稽古法「幕内定着養成ギブス」を考案するなど、後進育成に情熱を傾けた。

長年の経験から培われたちゃんこの腕前は角界随一と評され、その味は多くの力士に愛された。また、2008年には、地元である宮古島での大相撲巡業実現に貢献した功績が認められ、感謝状が贈られている。

2017年9月8日、稽古後に倒れて虚血性心不全のため死去。60歳没。その死を悼み、多くの関係者から弔問が訪れた。通夜には元横綱若乃花、元関脇高見山などが、葬儀には八角理事長、貴乃花親方など多くの関係者が参列した。

世話人仲間である錦風真悟は、現役時代は厳しく怖い存在だったが、世話人になってからは優しく後輩を支える人物へと変わっていたと証言している。

友鵬の死後も、その功績を称える追悼イベントが開催された。沖縄・宮古島巡業では追悼コーナーが設けられ、相撲甚句が披露された。また、都内では落語家による追悼寄席が開かれ、彼の霊前で落語が演じられた。

生涯成績は348勝331敗7休。数々のテレビ、ラジオ番組にも出演し、その人となりは広く知れ渡った。彼の生き様は、相撲界のみならず、多くの人々に深い感銘を与え続けた。彼の功績は、これからも語り継がれていくであろう。

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