双十協定

双十協定とは

双十協定（そうじゅうきょうてい）とは、日中戦争の終結後に中華民国国民政府と中国共産党が締結した協定です。この協定は、両党が分裂状態にある中で、戦後の中国における統一政権を樹立するためのものであり、その名称は1945年10月10日に調印されたことに由来しています。公式の名称は「政府と中共代表の会談紀要」です。

背景

日中戦争が終わった後、中国は外的な脅威が減少し、抗日という共通の目標に向かって国民党と共産党は共同作戦を行いました。しかし、この協力によって当時の両党の間に潜在する政治的な矛盾が表面化してきました。戦争を通じて、国民党はいくつもの犠牲を強いられたものの、共産党は日本軍との戦闘を通じて自らの戦力を温存していました。

抗日戦争の終息とともに、米国は国民党軍に対する支援を強化し、華北における重要な都市を押さえるために進出しました。このようにして、米国は中国の安定を図ろうとし、同盟国である国民党を支援しましたが、一方で内戦の拡大は避ける意向も持っていました。

また、アメリカ軍の中での見解には多少の違いがありましたが、国民党のリーダーシップのもとに中国を統一する方針、内戦の回避、そして地上軍の派遣を避けるという基本方針は大筋で一致していました。アメリカの駐留は、中国の内戦に直接的に関与しないためのもので、国民党と共産党の交渉を促進する立場でした。

協議の経緯

1945年8月、国民政府の蔣介石主席は共産党の毛沢東と平和問題について会談を持つよう呼びかけました。この呼びかけに応じて、毛沢東と共産党の指導者たちは重慶において国民党の代表と会談を行いました。

会談に先立ち、両党は停戦を発表していましたが、実際には協議における優位性を保つために、戦闘は続いていました。この中で、共産党は自らの拠点の独立主権を主張したものの、国民党に対しては一部拠点の引き渡しに同意しました。

協議を経て、双方は1945年10月10日、「政府と中共代表の会談紀要」に署名しました。これが双十協定と呼ばれる所以です。

協定の内容

双十協定の主な内容は次の通りです:
1. 平和的な建国の基本方針の承認: 紛争は対話により解決することが合意されました。
2. 内戦の回避: 両党は協力し合い、平和で富強な新中国の建設を目指すことを誓いました。
3. 憲政の実施: 訓政体制を終わらせ、憲政を実施することが確認されました。
4. 新憲法の制定: 政治協商会議を速やかに開催し、新憲法の制定を進めることが合意されました。
5. 相互承認: 共産党は南京国民政府を中国の合法的な指導者として認め、国民政府は共産党を合法政党として認めました。

結果と影響

1946年1月、協定に基づき重慶で政治協商会議が開催されました。ここでは各党からの代表が集まり、新憲法や政府組織案が採択されるなど進展が見られました。しかし、国民党が共産党の提唱する民主連合政府を拒否したことが、国共内戦の引き金となりました。

その後、内戦が激化し、1949年には共産党が中国大陸を制圧しました。同年、国民政府は台湾に移転し、二つの中国問題が顕在化しました。こうした経緯から、双十協定はその後の中国の歴史に大きな影響を与えました。内戦中も両党の対立は続き、国土は分断される結果となりました。

最終的に、双十協定は、戦後の中国における政治動向を決定づける重要な出来事として位置づけられています。また、これにより様々な関連会談が行われ、後の歴史的な展開に繋がっていきました。

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