受付小町

受付小町（うけつけこまち）は、かつてゲームメーカーとして知られたナムコ（現・バンダイナムコエンターテインメント）が開発し、本社受付に設置したロボットです。1985年、当時東京都大田区矢口にあったナムコの本社ビルに姿を現しました。主な役割は、来訪したお客様を目的の部署へ案内し、担当者へ引き継ぐという、人間の受付担当者と同様の業務をこなすことでした。その開発は、ナムコ社内でアミューズメント施設向けのロボットを企画・販売していた部署が手掛けています。身体的な特徴としては、B80、W50、H65というスリーサイズが設定されていました。

ゲームキャラクターとしての活躍

受付小町の存在は、やがて現実の受付業務に留まらず、旧ナムコおよびその後を引き継いだバンダイナムコグループが開発したゲームの世界にも広がりを見せます。彼女は個性的なキャラクターとして、いくつかの自社製ゲームソフトに登場するようになりました。

特に有名なのは、野球ゲームシリーズである『ファミスタ』や『ワースタ』への登場です。1993年リリースの『スーパーファミスタ2』を皮切りに、シリーズの様々な作品で彼女の姿を見ることができます。これらの作品では、ナムコをモデルにした架空のプロ野球チーム「ナムコスターズ」の一員として、選手登録されています。作品によっては、右アンダースローの投手としてマウンドに上がったり、あるいは右投左打の捕手としてチームを支えたりと、ポジションや設定は異なりました。『ファミスタ64』では、1967年3月17日生まれ、東京都出身という、より詳細なプロフィールが設定されていました。

PlayStation向けに展開された往年のナムコゲームを収録したシリーズ『ナムコミュージアム』でも、受付小町はオリジナルの設定そのままに、ゲーム内の架空のミュージアムの受付担当としてプレイヤーを迎えています。さらに、2005年に稼働を開始したアーケードゲーム『コブラ・ザ・アーケード』のゲーム内にも、ステージの一部に登場するなど、様々な形でナムコファンの前に姿を見せました。

また、バンダイナムコゲームスがかつて携帯電話向けに提供していたコンテンツサービス「ナムコiメロキャラ」では、他の人気ゲームキャラクターたちと共に、「ロボット」のカテゴリで彼女をフィーチャーしたiアニメ動画が数種類配信されるなど、ゲーム以外のメディアでも展開されていました。

静止期間と復活

長年にわたりナムコ本社の「顔」として受付業務を務めた受付小町ですが、詳細は不明ながらいつしか故障してしまい、稼働を停止してしまいます。その後、長い期間にわたって倉庫の中で保管されることになりました。この間、ナムコという組織も変化を遂げ、2007年にはバンダイナムコゲームスへと社名が変更され、さらに2014年にはアミューズメント事業を引き継いだ新ナムコの本社が移転するなど、組織の変遷がありました。こうした中で、受付小町の処遇についても様々な検討がなされました。

紆余曲折を経て、バンダイナムコスタジオの当時社長であった中谷始氏の発案により、受付小町を修復し再び稼働させるという「レストア計画」が本格的に始動します。この計画には、かつて旧ナムコでロボット開発などに携わっていた技術者たちが協力。彼らの長年の経験と技術力によって、受付小町は見事に元の状態へと修復されることに成功しました。

現在の受付小町

レストアが完了した受付小町は、現在、バンダイナムコスタジオの受付ロビーにて、かつてのように来訪者を迎える「受付嬢」としての役割を再び果たしています。さらに、現代の技術を取り入れた新たな機能も搭載されました。

受付近くに設置されているマッピーの銅像内部に組み込まれたプロジェクターと連携することで、プロジェクションマッピングによる演出が可能になっています。例えば、胸部に桜の花びらを模した美しい模様を映し出したり、顔の一部を赤く染め分けたりと、状況に応じて様々な表現を行うことができるようになりました。単なる受付ロボットとしてだけでなく、会社の歴史を象徴する存在として、今日もバンダイナムコスタジオの玄関で来訪者を見守っています。

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