叡山電鉄700系電車

叡山電鉄700系電車

叡山電鉄700系電車（えいざんでんてつ700けいでんしゃ）は、1987年から1988年にかけて叡山電鉄によって導入された電車です。この新型電車は、近代化された技術を取り入れており、特に冷房設備が充実しています。全車両が両運転台を持つ制御電動車であり、もともと存在していた他形式の車両から一部機器が流用されています。

開発の背景

叡山本線や鞍馬線はモータリゼーションの影響を受けた結果、乗客数が減少していました。特に1964年にはピークを迎えたものの、以降は急激に利用者が減少し続けていました。1978年には京都市電が全廃されたことも影響し、乗客の接続手段が失われました。さらに、バス路線の発展によって叡山線の需要が低下し、経営状況は非常に厳しいものでした。これを受けて、京福電鉄グループは叡山線の経営改革を進め、新たな車両の導入を決定しました。その結果生まれたのが700系電車です。

車両の構造とデザイン

700系は、機器流用元の車両により3つの形式に分けられます。その形式はデオ710形、デオ720形、デオ730形です。これらの車両は多くの点で修正され、快適な運行を実現しています。外観上の特徴として、前面のデザインは非貫通式で、大型の窓が採用されており、視界が広がっています。正面には初めて導入された電動式方向幕が設置され、運転の効率も考慮されています。

側面では、乗降扉が片開き式の2扉となっており、窓は上下開閉式の構造です。車両のカラーリングも変更され、従来のブラウンベージュと深緑から京福グループの車両と同様のアイボリー色が主体のデザインが採用されています。

内装と設備

車両内部は非常に使いやすく、すべての座席がロングシートスタイルで配置されています。また、天井には冷房装置や換気装置が備えられ、快適な空間が維持されています。運転席はワンマン運転に配慮し、運転士が乗客の様子を確認しやすく設計されています。

効果と受賞歴

700系は導入から順調に運行され、2018年には732号車が観光列車「ひえい」へと改造されました。この観光列車は、比叡山や琵琶湖を結ぶ観光ルートの一環として、大胆なデザインが評価され、2019年には「ローレル賞」を受賞しました。

その後も700系は様々なリニューアルや改造が施されており、もともとのデザインを残しつつ、現代のニーズに応じる形に進化しています。

まとめ

叡山電鉄700系電車は、歴史的な背景を持ちながら、様々な改善と改造を経て今に至る重要な車両です。その存在は、叡山電鉄の再建や地域観光の振興に大きく寄与しています。現代的な設備を備えたこの電車は、今後も多くの乗客に愛され続けることでしょう。

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